自由な着想と先端テクノロジーの融合によるイノベーションが、デジタル時代に打ち勝つカギ:NTT DATA Innovation Conference 2016リポート(2/2 ページ)
ITの発展によってこれまでの制約が無意味になり、異業種でも新たなビジネスに参入することが可能な時代が到来した。従来のビジネスモデルも通じなくなる時代だからこそ、イノベーションをいかに生み出すかが重要である。
イノベーションはいかにして生まれるか
続いてイノベーションは、自由な着想と、先端テクノロジーが融合したときに生まれると説明。ではそのイノベーションにつながる着想とは、いかにして得るのだろうか。これまでの枠組の中で考えていては、本質にたどり着くことはできない。「当たり前」を「当たり前」と考えると、そこで止まってしまう。
具体事例として、NTTデータが1981年より提供している金融業務の自動化サービス「ANSER(Automatic answer Network System for Electronic Request)」の誕生秘話を紹介。銀行のコールセンターにおける問い合わせ対応を何とか自動化させたいという思いのもと、前例にとらわれないアイデアでそれまでの常識を覆し生まれたサービスは、時代とともに口座振り込みやインターネットバンキング、マルチバンク取引とさらにその機能を拡充してきた。
また、近年の日本発のイノベーションとして、自国の資源から新素材を作りたいという思いから、世界の誰もが考えなかった植物由来の新素材に着目し研究を続けた末に生まれた「セルロースナノファイバー」などを挙げ、「イノベーションの原動力は"これがしたい!"という強い思い。自由な着想と不断の追求を持つ事が大切である」と、ビジネスに取り組む企業姿勢についても示唆した。
大企業×ベンチャーという新しい形
「現在のイノベーションは、ベンチャーの独り勝ち、あるいは既存プレイヤー独占の時代ではなく、共創の時代に移っている。ベンチャーの斬新な着想とテクノロジー、大企業の保有マーケットと業務ノウハウの蓄積の共創もイノベーションが生まれる重要な形になっている」(岩本氏)
NTTデータでは月に1回、ベンチャーと新規ビジネスを創発するオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」を開催。ここからNTTデータのANSERをベースに、個人資産管理サービスやクラウド会計サービスと金融機関が連携する新サービスが誕生している。
ベンチャーと大企業が融合し、ITを駆使することで、社会インフラが再定義され、デジタル経営の時代が来る。デジタルにより、業種・業界の垣根を越えた「トランスフォーメーション」が起きるが、そのような時代だからこそ技術の観点から近未来を予見することが重要になる。
近未来のITトレンドを示す「NTT DATA Technology Foresight 2016」
近未来を予見するための指針がNTTデータが毎年策定する「NTT DATA Technology Foresight」である。岩本氏は、「お客さまの自由な着想に対して、世界中の最先端テクノロジーを伝えることでイノベーションを起こしたいという思いがあった」と取り組みの背景を説明。この技術洞察は、ウェブや書籍などの情報をもとに、PEST(政策:Politics、経済:Economy、社会:Society、技術:Technology)分析を実施し、最新の「NTT DATA Technology Foresight 2016」では、60の重要課題と247の技術課題を抽出している。この結果に基づき、さらに4つの情報社会トレンドと、8つの技術トレンドに集約している。
■情報社会トレンド
(1)個の影響力拡大が社会の変革を促進する
(2)オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す
(3)進化する価値が既成概念の転換を促す
(4)フィジカルとデジタルの融合が持続性と迅速性をもたらす
■技術トレンド
(1)超臨場インタラクション
(2)プレシジョンライフサイエンス
(3)人工頭脳との共生
(4)オートノマスモビリティ
(5)アンビエントコマース
(6)分散メッシュコンピューティング
(7)サイバーフィジカルセキュリティ
(8)デザインイノベーション
岩本氏は、「IT技術は今後も指数関数的に伸びていくとともに、社会において担う役割も大きくなっていくだろう。皆さんのビジネスが私たちの技術を活用することで、あるいはベンチャーや大企業との総合的なアライアンスを通じて、今以上に発展していくと祈念している」と話し講演を終えた。
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