「話し方」以上に「聞き方」が重要になる――3000人のインタビュー経験から見えてきたこと。学んだこと:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
コミュニケーションは話すことだけでは成立しない。相手の話をしっかり聞くことができなければ、何を求めているのか的確な話を繰り出すこともできない。コミュニケーションはキャッチボール。
こうした思いを背景に、上梓したのが新刊『「聞き方」を変えれば、あなたの仕事はうまくいく』(文響社)でした。しゃべり方ではなく、聞き方について、私自身の30年近い取材経験、3000人を超えるインタビュー経験を踏まえながらまとめ、よりよいコミュニケーションをするための聞く方法、話すための聞く技術について考えた一冊です。
世の中には、話すことが得意な人、苦手な人、両方がいると思います。すらすらと流ちょうにうまくしゃべる人を見て、話すことは才能だ、と思っている人もいるかもしれません。たしかに、その要素はあるかもしれない。
しかし、聞く行為にはコミュニケーションの才能はいらない、と私は思っています。聞かれる側も、そういうことは意識しません。何より必要になるのは、「聞く心得」です。本書では、具体的な聞く技術に加え、うまく聞くためにはどんな心得が必要になるのか、さまざまに書き記しています。
例えば、話をするときに緊張してしまう、という人がいます。実は私は今も毎週のように各界の著名人にインタビューさせてもらっていますが、緊張することはまずありません。なぜなら、緊張しないように自分を持っていっているからです。
そもそも緊張するときとは、どのようなときか。多くの場合、何かの結果を出したいとき、もっといえば自分をよく見せたいとき、だと思うのです。逆に、自分をよく見せようなどと思わなければ、意外に緊張などしないものだと気づいたのでした。
長くインタビューの仕事を続けてきて感じるのは、結局のところ人間は、態度や立ち居振る舞いにその人のすべてが出てしまうということです。それこそ立派な人たちにすれば、目の前に座っている人間など、簡単に見抜けてしまう。背伸びして取り繕う必要など、まったくないのです。
「私はこの程度の人間です。でも、もっと成長したいと思っています。だから、聞かせてもらえませんか」
そんなスタンスで臨んだほうが、よほど相手に受け入れてもらえると思います。そうすれば緊張もしませんし、自然体でいられます。
聞いてくれる人は、なぜ信頼されるのか。思わず話してしまう人は何が違うのか。苦手な人とのコミュニケーションはどうするか。続かない会話を引き起こすタブーとは何か。聞く力をつけるための習慣とは……。「聞く力」について、さまざまに考察しています。
著者プロフィール:上阪 徹
1966年兵庫県生まれ。リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスのライターとして独立。著書に『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)など多数。インタビュー集に『外資系トップの思考力』(ダイヤモンド社)、『プロ論。』シリーズなど。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品も60冊以上に。
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