選ばれる人、選ばれない人:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
「自分は優秀なのに選ばれない」とグチをこぼしている人。これは優秀な人の定義が間違っているからだ。優秀イコール能力があるではない。では選ばれる人とは?
自分に求められた役割が分かる人が、選ばれる
サッカーも仕事も、監督や上司のゲームプランで戦います。何がなんでもシュートを打てばいいわけではありません。上司の意図するストライカーは別にいます。自分が求められているのは、アシストなのか、起点なのか、おとりなのか、ディフェンスなのかを見きわめます。
なんのために自分がこの場に呼ばれているかを考えるのです。TVのトーク番組に呼ばれると、私はまず、メンバーを見ます。お笑いの人とアイドルの組合わせの時は、私に求められているのは「文化人」という位置づけです。
登場人物全員が文化人の場合は、私に求められているのは「笑い」です。ほかの人たちに笑いをとる余裕がない時は、自分が笑いをとって、ちゃんとTVをまわしていく役になります。
同じ選手でも、その時のフォーメーションの中で求められる役割は変わるのです。
自分のしたいことを先行させると、自分の役割を取り違えます。上司のゲームプランも壊れます。
「おとりになってくれと言っているのに、なに勝手なことをしてるんだ」
「ストライカーはもういるのに、かぶっている」
と言われるのです。
そういう人は、次からは呼ばれません。選ばれない人は、頑張っているし、一生懸命です。選ばれない人は、頭はそこそこいいのに、プランを見抜いたり、役割を見抜くことが苦手なのです。選ばれるか選ばれないかは、たった1ミリの差です。だから、なおさら頑張って、「こんなに頑張っているのに、なぜ選ばれないのか」というストレスがたまっていくのです。
天職を探している人は、選ばれない。人のために役立つことを探している人が、選ばれる。
「どうすれば天職が見つかりますか」と良く聞かれます。天職を探している人は、「天職」を「自分の好きなこと」「努力を努力に感じないこと」と定義しています。
これは「天職」の定義が間違っています。「天職」の定義は「人のために役に立つこと」です。天職は、神様から与えられたミッションです。お客様、得意先、上司、仲間、会社など、まわりの人のために役に立つことを探している人が、結果として天職が見つかるのです。
天職は、好き嫌いを抜きにできることです。好きなことは誰でもできます。めんどくさいと思うことでも、やっているうちに、やがて「これはこれで、嫌いじゃないな」と感じてきます。
あとで振り返って、しみじみ「天職」と感じることが天職です。天職は結果として与えられるものです。最初から目標にしたり、探したりするものではないのです。自分の好みより、どうしたら人のために役に立つかを優先させている人が、選ばれる人になります。
好きなことが見つからないのではない。「稼げる仕事で、好きなこと」が見つからないだけだ。「好きな仕事がなかなか見つからないので、見つかってから頑張ろうと思います」と言いながら、家で寝転がっている人が大ぜいいます。「なんで仕事しないの?」と聞くと、「好きなことが見つからないんです」と言うのです。
「好きなことが見つからない」には、
(1)好きなことはあっても、それでは食べていけない
(2)食べていけても、その中に好きなことが見つからない
という2つの意味があります。
「好き嫌い」の軸と「食べていけるか食べていけないか」の軸とがあるのです。好きでもないし食べてもいけないことは、そもそもしようと思わないので誰も悩みません。
一方、経験もなく、勉強もしていないのに、都合よく「好きで食べていけること」ができるわけがありません。最終的には「好きで食べていけること」を目指すとしても、途中のプロセスは「好きだけど食べられないこと」と「食べられるけど好きではないこと」の2択です。
ほとんどの人が「好きだけど食べられないこと」を選びます。その結果、食べていけないので、だんだん続かなくなって、ついには行きどまりなります。「本には『好きなことを仕事にしなさい』と書いてあるじゃないか」「あの人は好きで楽しいことをしているじゃないか」と文句を言うのです。
中間点では、今は好きでなくても食べていけることを、自分なりにコツコツ頑張ります。そのうちに好きなやり方が見つかります。最終的に、好きで食べていけることにたどり着けるのです。
著者プロフィール:中谷彰宏・作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『選ばれる人、選ばれない人。』(ぱる出版)など、1000冊を超す。
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