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「かわいい部下」の条件が変わったビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

何とか引き上げてあげたい、組織を離れても付き合いたいと思える部下、そんな現代版の「かわいい部下」とはどのような条件を満たしているのだろうか。

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 日本企業の勝ち残りは、強い個と強いチームが生み出す圧倒的な成果やクリエイティビティ、リーダーシップに委ねられるようになったのです。

 また、こんな視点もあります。

 現在、一部の大企業では副業レベルを超えた兼業を解禁、奨励し始めています(中には専業禁止をうたっている企業もあるくらいです)。今後、このような企業はますます増えていくでしょう。その背景には、大企業といえどももうこれまでのように社員を丸ごと抱えて面倒を見ることができない、無い袖は振れないという事情があります。

 安倍政権が提唱する一億総活躍社会、言い方を変えれば一億総個人事業主時代の幕開けです。そのような時代にサラリーマンが生き残っていく上で、絶対必要なものは何でしょうか?

 それは、チームの存在です。

 とは言っても、チームは存在すればそれでよい、というものではありません。チームというものは、メンバー一人一人が1以上の実力をもっていれば掛け算の相乗効果を生みます。逆に、1に満たないメンバーが1人でもいるとマイナスの掛け算になってしまうのです。

 多くの日本企業では、当たり前になったプロジェクトベースの働き方ですが、ある上司が同じ部下をチームに入れたがるのは、その部下をメンバーにすれば、確実にプラスの相乗効果が生まれることを知っているからです。

 少し話しはそれますが、昔「可愛いだけじゃダメかしら」というフランス映画がありました。そしてこのキャッチコピーは、これからの上司と部下の関係にも当てはまることを明記しておきます。

これからの部下の条件

 これからの時代、デキる上司であればあるほど、かわいいだけで1の実力にも満たない部下は「いらない部下」なのです。一方の部下も、デキない上司に仕えるリスクはますます増大します。

 本書は、これからのビジネスやキャリアにチームとして挑み、高い成果を出し続けるために必要な条件について明らかにしていきます。

 そのひとつは、部下がデキる上司から選ばれるための条件です。

 例えば、

  • 上司が求める仕事のノリを理解し、積極的に合せる部下は選ばれる
  • 上司が内心求めている「社内接待」を実践している部下は選ばれる
  • 上司に苦言を呈し、職場にあえて波風を立てられる部下は選ばれる

 もうひとつは、上司が「いらない」部下と「かわいい」部下を見きわめるための条件です。

 例えば、

  • 上司は、個人成果に強くこだわる部下を「いらない」部下と見なす
  • 上司は、実務能力抜群の課長(部下)を「いらない」部下と見なす
  • 上司は、社内事情通のガラパゴス部下を「いらない」部下と見なす

 かつて「部下は上司を選べない」とサラリーマンの悲哀がうたわれましたが、このような硬直的な関係性は、終わりを迎えつつあります。

 これからは対等な立場で、上司は部下を選び、部下は上司を選ばなければなりません。上司と部下の最適なマッチング、コラボレーションなしには、双方ともに生き残れない時代がもう目の前にやってきています。

 本書では、まず日本のサラリーマンのキャリアはどうなっていくのか、その歴史的な転換点における展望を明らかにしていきます。その上で、これから生涯にわたりキャリアを形成していかなければならない上司と部下が、組織の枠組みを超えて生涯のビジネスパートナーを見きわめるための条件、ハイパフォーマンスチームの組み方や方法論、心得などを解説します。

 終わりに、日本社会に生きる読者のキャリアが、前途洋々たるものになるか否か、時代認識と覚悟、そして行動にかかっていることに間違いはありません。

著者プロフィール:新井健一 経営コンサルタント・ビジネス書作家

経営コンサルタント、アジア・ひと・しくみ研究所代表取締役。

1972年生まれ。早稲田大学 政治経済学部政治学科卒業後、大手重機械メーカー、アーサーアンダーセン/朝日監査法人(現 KPMG/あずさ監査法人)、同ビジネススクール責任者、医療・ITベンチャー企業役員を経て独立。大手企業向けの経営人事コンサルティングから起業支援までコンサルティング・セミナーを展開。テレビ東京・BSジャパン「人生が変わる人事の話」(毎週金曜日夜11:00)に人事の専門家としてレギュラー出演。

著書に「いらない課長、すごい課長」(日本経済新聞出版社)などがある。


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