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切り札は「延命保守」――保守期限切れのIT資産を有効活用する

ビジネスに直結するITシステムは、メーカーが定めた保守サービス期間が終了したあとも、そのまま使い続けなければならないことがある。しかし、保守サービスなしに古いシステムを使い続けるのは、高いリスクを伴う。こうした問題をいかに解消すればよいのだろうか。

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 テクノロジーの指数関数的な進化は、人の暮らしや働き方を大きく変えようとしている。いずれデジタル化による既存ビジネスの破壊と再定義はほとんど全ての業界へと広がっていくだろう。こうしたビジネスのデジタル化を進めるうえではデータの活用がカギを握るといわれているが、それを支えるストレージ分野でも、フラッシュストレージや分散ストレージ、クラウドなど、新たなテクノロジーや製品が次々と登場している。

 ただ、日々のビジネスを支えるデータを格納するストレージの移行はとても厄介なことで知られている。メーカーが定めた保守サービス期間の満了によって、いや応なしにストレージのリプレイスを迫られてしまうこともある。

 こうした中、企業はデジタル時代の変革期をどのように乗り切ればいいのだろうか。大切なデータを守るストレージの長期利用を実現する延命保守サービスについて、エスエーティ(SAT)代表取締役である蔵満茂氏、および技術本部 本部長の倉永和彦氏に、アイティメディア エグゼクティブ・プロデューサーの浅井英二が話を聞いた。

デジタル時代の大量データを守るには

浅井英二(以降、浅井) 高価な大規模サーバとストレージの組み合わせにより、データ活用がうまくいっている企業もあれば、うまくいっていない企業もあります。日本企業にとって、データ活用は課題の1つとなっていますが、SATのユーザー企業では、ストレージに対してどのような課題を抱えていて、その課題をどのように解決し、日々の業務にデータを活用しているのでしょうか。

蔵満茂氏(以降、蔵満) 企業がデータを活用するためには、システムが常に稼働していて、いつでもデータを利用できる状態にしておくことが必要です。ただしデータは、日々増大しているので、大量のデータを格納できなくなった場合、新しいストレージに刷新しなければなりません。このとき、古いデータを破棄することはできないので、新しいストレージにデータを移行することが必要です。


SAT 代表取締役 蔵満茂氏

 データの移行には、多くの時間とスキルが必要で、必ずしも1度でうまくいくわけではありません。例えば、ある通信事業者では、移行作業で不具合が発生し、元に戻さなければならない状況でしたが、延命保守サービスにより、旧データをいつでも使える状態にしてあったので、トラブルを最小限に食い止めることができました。

浅井 新しいストレージに移行する背景の多くは、メーカーの保守サービス切れによるものと聞いたのですが。

蔵満 SATに延命保守サービスの依頼が来るのは、メーカーが保守サービスを終了することが発表されたときです。メーカーとしては、早々に新しい機種に移行してほしいと思っていますが、顧客としては多額の投資が必要ですし、移行時に障害が発生するとビジネスに甚大な損害を与えてしまうため、簡単には移行できないこともあります。そこで、第三者延命保守サービスが必要とされています。

浅井 メーカーの保守サービス終了後に、保守サービスなしに使い続けるリスクを軽減するのですね。

蔵満 その通りです。ただし、保守サービスが終了したストレージなので、いずれは新しいストレージに移行しなければなりません。その間のつなぎのサービスともいえます。


メーカー保守と延命保守の違い

延命だけではなくコスト削減にも

浅井 故障した場合はどのように修復するのでしょうか。

蔵満 メーカーの保守サービスが終了している場合は、メーカーから購入することは困難です。そこで、中古市場を利用しています。中古のパーツを購入し、検査して、正常に動くものを保守用パーツとして利用します。われわれが得意とするストレージは、EMCや日立、HP、IBMなどさまざまですが、日本国内の中古市場はそれほど大きくありませんので、中古市場ができあがっている欧米、アジア地域で全体の8割程度を調達しています。

 欧米と日本では考え方が少し違っていて、日本ではメーカー頼みのことが多いですが、海外では自分たちのシステムは自分たちで守るという意識が強いです。海外に中古市場が確立されているのは、こうした背景によるものです。ただし最近では、システムのリプレイスに膨大なコストがかかるため、日本の企業も全てメーカー任せとはいかなくなっているようです。

浅井 海外のIT人材は企業側の比率が高く、日本のIT人材は販売側に多い傾向にあります。そのために日本の顧客は、なかなか自分たちのシステムを自分たちで守ることができません。また、海外は文化としてDIYが根づいていることも背景にあるでしょう。日本の企業も考え方を変えて、使えるものは自己責任で使うことでコストの削減を考える必要があるのかもしれません。その一方で、日本の金融機関がすでに第三者保守サービスを採用しているという話を聞いて驚きました。

蔵満 日本の金融機関が第三者保守サービスを採用したのは、私も驚きました。海外では、基幹システムを第三者保守サービスに任せることは珍しくありませんが、日本ではまだまだ少ない状況です。

浅井 SATのストレージ延命保守サービスは、どのような領域で利用され、どのような効果があるのでしょう。

蔵満 メーカーの保守サービスが終わったストレージだけでなく、保守サービスが終わる数年先を見越して、第三者延命保守サービスを採用して計画的に移行する企業もあります。また、保守サービスが終了していないストレージでも有効です。一般的に、保守サービスをメーカーに依頼すると膨大なコストがかかりますが、第三者延命保守サービスを採用することで、コストを大幅に削減することが期待できます。

クラウドへのデータ移行の現状

浅井 データの格納先として、クラウドとオンプレミスを適材適所で利用していくことが求められています。今後、企業はどのような方向に進むのでしょうか。

蔵満 多くの企業がクラウドへの移行を検討しながらも、オンプレミスを延命している状況で、本格的に始まるのはこれからではないでしょうか。全てを移行するのか、一部だけ移行するのかは、それぞれの企業の方針によります。

 クラウドのメリットは、オンプレミスで保守料を払い、自社で運用し続けるよりコスト削減が見込めることですが、すぐに簡単に移行できるわけではなく、その間のつなぎとして第三者延命保守サービスを利用するお客さまも多くいます。

浅井 他には、どのような分野で活用が期待できるのでしょうか。

蔵満 東日本大震災後、ディザスタリカバリー(DR)サイトの構築が注目されています。規模にもよりますが、われわれもクラウドを活用したDRサイトの構築を行っています。システムやアプリケーションなどのバックアップをしている企業は多いのですが、データのバックアップをしている企業はあまり多くありません。災害対策や延命保守の一環として、データのバックアップは不可欠です。

データセンター全体の保守サービスを展開

浅井 今後SATとしてはどのようなビジネス展開をお考えなのでしょう。

蔵満 現在は、オンプレミスのメンテナンスや保守サービスが中心ですが、オンプレミスの仕組みの多くはデータセンターに移行されています。そこで今後は、企業だけでなく、データセンター全体のメンテナンスや保守サービスにも力を入れる計画です。

 メーカーは、自社製品に関しては、どこにも負けない情報を持っています。しかし、データセンターの保守は、機器が多種多様なマルチベンダー環境なので、1つのメーカーを1社で保守することは困難ですが、われわれであれば、マルチベンダー環境を統合管理することができます。

 マルチベンダー環境で問題が発生した場合に、何が悪いのか、どの機器に問題が発生しているのかの切り分けから問題解決に至るまでの経験とノウハウを持っています。この実績を生かし、データセンターの運用から保守までを提供できます。また、顧客の問題を一括で受け付けるコールセンターやリモート監視による保守も24時間365日行っています。

浅井 日本企業は、やや保守的なので、メーカー保守に比べ、第三者延命保守に不安を感じる企業は多い気がします。こうした懸念を、どのように払拭(ふっしょく)するのでしょうか。

倉永和彦氏(以降、倉永氏) 延命保守サービスを開始した当初、まだあまり規模が大きくなかったときには、「交換のために中古市場から調達するパーツの品質をどうやって担保しているのか」という問い合わせが多くありました。それに対しては、「社内のラボでしっかりと検証しています」と答えています。


SAT 技術本部 本部長 倉永和彦氏

 パーツに関しては、メーカーから新品が買えれば新品を買いますが、基本的にメーカー保守が終了した機器のパーツなので、十数年前のパーツもあります。このようなパーツは、必ず動作検証をして、保守サービスに利用します。調達したパーツは、品質にかなりばらつきがあるので、ラボで検査して、問題ないものだけをシステムに組み込み、稼働テストを行っています。

 また、通常のメーカー保守では、ハードウェアだけでなく、OSやミドルウェア、アプリケーションのレイヤーまで保守している場合がありますが、われわれにも同様のサービスをしてほしいという要望をいただくことがあります。この場合、「できるもの」と「できないもの」を明確にし、「この方法ならできます」という提案型の対応をしています。

浅井 ハードウェアの保守サービスなので、本来であれば、故障したパーツを交換して、稼働確認して終わりなのですが、少し日本的な手厚い対応も含まれているということですね。

倉永 その通りです。常に顧客とコミュニケーションをとりながら進めています。最近では、ミドルウェアに対応してほしいという要望も増えています。今後さらに、データベースや仮想環境に関しても要望が出るかもしれませんが、できる限り対応していきたいと考えています。

浅井 最後に、SATの強みについて聞かせてください。

蔵満 われわれの最大の強みは、高い技術力です。その技術力の源泉は、中途入社の社員がこれまでに各メーカーで培った経験やノウハウです。また、海外ベンダーとの協業やラボにおける検査設備、数十社に上る海外の部品調達先なども強みです。さらに、発生したトラブルに関しては、決められたサービスレベルを保証、レベルの高いサービスの提供が強みと考えています。

 SATはこれからも、保守切れの心配をせずに今のシステムを継続して使いたい、安心して新たなシステムに移行したいなどお客さまの要望を実現するために、一緒にサービスを考えていきます。

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提供:株式会社エスエーティ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2017年12月12日

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