品のある稼ぎ方、使い方:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
品のない稼ぎ方をしていると、リスペクトがなくなるので、長続きしない。品のある稼ぎ方と、品のない稼ぎ方には、決定的な違いがある。
モノを買いに行くのではなく、教わりに行く
お金を稼ぐのに、品がある稼ぎ方と品のない稼ぎ方があるように、お金の使い方にも、品のある使い方と、品のない使い方があります。
ブランド品を買いに行くにも、品のある行為と品のない行為とに分かれます。例えば、「私は○○のブランドが好きです」と言う人がいました。その人は、そのブランドについての知識はそこそこあります。だからといって、その人に品があるとは言い切れません。
お金の使い方に品がある人は、モノを買いに行った時に、お店の人に教わっているのです。例えば、私の生徒は、オーダーメイドの大和屋シャツ店にシャツを作りに行っています。私は生徒たちに「シャツを買いに行くのではない。シャツをオーダーメイドで作る過程で、菱沼三彦店長からシャツについての考え方と美学を教わりに行くのだ」と教えています。「そのオマケとして、シャツがもらえる」ぐらいの感覚です。
品のある人は、たとえ安いモノでも、それを買う行為を通して何かを学びます。「品」とは、学ぼうとする姿勢です。「オレがカネを出しているのだから、オレにモノをくれ」と言うのは、お金をモノと交換しているだけです。
そういう人は、品がなくなります。お金を知識と交換することで、品に変わるのです。モノを通して、教わることが大切なのです。
品のある人は、モノを買いに行くのではなく、友達になりに行く
ある経営者が「私はこのブランドが好きで、たくさん持っています」と言いました。「いつも誰から買われていますか?」と聞くと、「知りません」と言うのです。これは品のない買い方です。
本当にそのブランドが好きなら、買ったお店の人のことも覚えています。彼は、そのブランドのモノが好きなだけで、お店の人にはまったく興味がないのです。お店の人は、もちろん商品も買ってほしいのですが、それ以上に、そのブランドの哲学を買ってほしいのです。お店の人がブランドの哲学を語る時は、買いに来た人の友達や先生になっています。
それなのに誰から買っているかを全く覚えていないのは、品のない買い方です。品のある買い方は、1つのモノを買ったら、そのお店の人と友達になることです。
品は関係から生まれます。人とモノが関係を結ぶことはできません。関係を結ぶのは、人と人です。その商品を買うことで相手と関係ができたら、それが品のあるお金の使い方です。何の関係も生まれなければ、品のある買い方にはなっていないのです。担当者の名前を覚えることが、品のある買い方をする第一歩なのです。
著者プロフィール:中谷彰宏・作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『品のある稼ぎ方・使い方』(ぱる出版)など、1,000冊を超す。
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