教祖になるか、伝道者になるかの分かれ目です。100%の完璧主義者は教祖を目指しています。教祖と伝道者は、どちらも同じように信じています。ただし、教祖は自分が完璧だと思っています。伝道者は、職人さんです。職人さんは、完璧は不可能であることを知っています。
ここからまた、
(1)完璧は不可能だから、一生懸命しなくていい
(2)完璧は不可能でも、限りなく100%を目指そう
という2通りに分かれます。
100%を目指し、昨日より今日、今日より明日を少しでもよくしようと考えるのが、プロのリーダーなのです。神様の手伝いをしようと考えると、イライラはなくなるのです。
イライラは、後ろめたさから生まれる。
イライラして、「私は正しくて、上司は間違っている」「私は正しくて、お客さまが間違っている」というふうに考える人はリーダーではありません。イライラするのは、自分の中に、どこか後ろめたいことがあるからです。その後ろめたさをカバーするために、イライラすることでごまかそうとしているところがあるのです。
例えば、ビジネススクールの授業でも、宿題をちゃんとしてきて、今日の授業の準備をしてきている人は落ちついています。宿題をしてきていない人の方がイライラして、ちょっとしたことでキレやすいのです。本来、キレていいのは、ちゃんと準備をしてきた人です。「私はこんなに授業の準備をしているのに、みんなはなんだ」と怒るなら、分かります。
実際は逆です。準備してきた人はイライラしません。準備が足りない人は、「準備の足りなさをツッコまれたらどうしよう」→「準備が足りないのは、自分も分かっている」→「何であの時、準備しなかったんだろう」→「でも、忙しかったから仕方ない」→「でも、それは言い訳だよね」……と、自分の中でクヨクヨして、ヘトヘトになった状態でイライラするのです。
イライラは、体や脳を使っている時ではなく、気を使っている時に起こります。気を使うと、ムダなエネルギーを消耗します。疲れ切った状態で、訳も分からずイライラするのです。
イライラしている人は、自分がどうしてイライラしているのか、分かりません。さらには、イライラしている自分にも気付きません。まわりから「何をイライラしているの」と言われるから、「イライラなんかしていないよ!」と、余計にイライラするのです。
イライラをなくすためには、準備をすることです。あらゆる仕事に準備があります。準備をすれば、余裕を持てます。余裕がなくなると、イライラするのです。余裕を生み出すために、準備をするのが、一流のリーダーなのです。
著者プロフィール:中谷彰宏 作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『イライラしない人の63の習慣』(きずな出版)など、1050冊を超す。
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