検索
連載

インバウンド時代を生き抜くための 「創造的おもてなし」のススメビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

日本人とニーズが違う外国人をもてなすには?

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 私たちUDSの場合はベースが建築ですので、マーケットは分かりやすく、シュリンクしていくことも見えていたため、早いうちから海外に進出しました。2013年に中国法人を設立し、よい仲間たちと仕事に恵まれ、現在では現地で120人のメンバーが楽しく働いてくれています。それは、日本のよい伝統でもあるおもてなしの精神を持ちながら、現地の人にも受け入れられるようにアレンジし、試行錯誤を繰り返してきた結果だと考えています。

 「建築」という分野だけでなく、今は「インバウンド」や「人口減少」などが直接関係ないように見える他分野でも、日本人同士だけではなく、国外のお客さまや仲間たちと共に取り組んでいく未来は必ずやってくるはずです。そのように実感するからこそ、サービスや接客の専門ではない私が、おもてなしに関する本を書いたのです。

自分の頭で思考するための「中空の概念」

 今後ますますグローバル化が進み、多様化していく社会においては、状況に応じて柔軟に対応できる人、つまり自分の頭で思考することができる人が勝ち残っていくでしょう。とはいえ、何もない状態では、考えようにも考え始められません。考え始めるきっかけ、のようなものが必要です。

 よくある会社の企業理念などは、考えるきっかけになるかと思いきや、なかなか個人が考えを深めるに至らないのが実情です。「お客さまは神様です」と言われたとしても、そこから思考を深めていくのは容易ではありません。

 かといって、「こう言われたらこう答えましょう」といったマニュアル的なものがそろっていると、思考は停止します。自分が考えずともマニュアルが全てを教えてくれるからですね。これでは、思考の訓練どころか、思考力は衰えていく一方です。

 変化の時代を生きる私たちの思考力を高めるためには、理念でもマニュアルでもなく、その中庸をいく「パターン・ランゲージ」が役立つはずです。慶應大学SFCの井庭崇教授が研究されている方法論で、具体と抽象のバランスが取れた「思考するための言葉」です。価値観を規定し、それをどう応用して思考・行動するかは、本人に委ねられているため、企業研修などでも今後より求められていく手法であると考えています。

 書籍『おもてなしデザイン・パターン』では、「創造的おもてなしの心得」を「パターン・ランゲージ」の手法でまとめていますので、接客・サービスの現場で役立つ知恵でありながら、全てのビジネスマンにとって応用でき、活用できる心得になっています。

 この「創造的おもてなし」を伝える「おもてなしデザイン・パターン」によって、より多くの人が自分の頭で思考し、インバウンド時代のグローバル戦略を考え実行する一助となり、ビジネスの助けやヒントとなることを願っています。

著者プロフィール:中川敬文(なかがわ けいぶん)

UDS株式会社 代表取締役社長。1967年3月生まれ、東京都出身。関西学院大学卒。株式会社ポーラ、株式会社オーディーエスを経て新潟県上越市に移住し、地元企業主導の大規模商業施設を企画開発・運営した後、株式会社都市デザインシステム(現UDS)入社。「キッザニア東京」「INBOUND LEAGUE」「ここ滋賀」「神保町ブックセンター」等を企画・コーディネイト。現在、鹿児島県薩摩川内市、滋賀県近江八幡市・米原市、宮崎県都農町、長野県佐久穂町等の地方市町村にて新しい場づくり、事業開発を担当。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る