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矛盾の中、顧客の深層心理の中にこそビジネスチャンスがあるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

いかにしてお客さまに喜んでもらい、感動してもらうか。

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 「食べ物を売り空腹を満たすビジネス」から、「食べるという喜びの体験を売るビジネス」に変化していく。このチェンジができるかどうかに成長のカギがあります。

 人手不足、それによる人件費の高騰など、環境が厳しいなかで、利便性から付加価値に重きをおいたものに移行していかなければいけません。大きな課題ですが、それを超えた先には、限りない可能性が広がっているはずです。

お客さまの「欲しい」をいかにして掘り当てるか?

 お客さまのご意見・ご要望(アンケートなど)をもとにつくったメニューは売れない、という「外食あるある」の話があります。どの企業もお客さまがなにを望んでいるのかをリサーチし、ヒットとまではいかないまでも、しっかりと支持される商品をつくり世に出したいと思っています。

 もちろん丸亀製麺でも、積極的にお客さまの声を拾うようにしています。でも、それを反映させたものをつくっても売れない。

 例えば、ヘルシー志向の野菜たっぷり系のものやボリュームの少ないもの。健康に気を配ったり、体形を気にしたりする人にとって、このようなメニューはよさそうですよね。現に意見や要望も多いので、これはウケるに違いないと思って開発したら売れない、という現実が待っています。

 なぜ、売れないのでしょうか。それは、頭のなかで顕在的にいいと思ったり欲しいと感じたりするるものと、深層心理で欲しいものは違うということです。

 豚カツ店で、お客さまの要望を反映してボリュームの少ない商品をメニューに増やしたら、売れなかった。豚カツ店に行く動機として、「今日はがっつり食べたい!」という心理があるということなのでしょうね。

 日頃食事制限やダイエットしているかもしれませんし、今日こそは、ハンバーガーを食べたい! 豚カツを食べたい! という風に。

 実際、丸亀製麺の期間限定のフェア商品でも、野菜たっぷり系のものはヒットせず、むしろ肉系のカロリーが高いものが受けます。ダイエットをしていても、お酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなるのも同じですね。それがたまらなくおいしく、満たされるのです。それは、深層心理を満たしているからなんですね。

 時代の流れやお客さまの嗜好の変化にも敏感に対応していかなければいけませんが、奥底に沈んでいる「欲しい」を掘り当てないといけません。お客さまは、心の奥底にあることはなかなか話してくれませんから。

著者プロフィール:小野正誉(おの まさとも)

株式会社トリドールホールディングス 経営企画室 社長秘書・IR担当。

神戸大学経済学部卒業後、大手企業に就職するも1年で退社。その後、外食企業で店舗マネージャー、広報・PR担当、経営企画室長、取締役などを歴任。

2011年より「丸亀製麺」を展開する株式会社トリドールホールディングスに勤務。転職してわずか3年で社長秘書に抜てき。入社後8年の間、国内外に1,700店舗以上を展開するグローバルカンパニーに至るまでの成長の軌跡を間近に体験する。

近著『丸亀製麺はなぜNo.1になれたのか? 非効率の極め方と正しいムダのなくし方』(祥伝社)は、各メデイアで取り上げられてベストセラーとなり、海外版も出版されている。 他、著書に『メモで未来を変える技術』(サンライズパブリッシング)がある。


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