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できる上司はやっている――行動改善コーチングと部下ノートで1歩踏み込んだ部下指導をITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

リモートワークで部下の指導がうまくいかないのではなく、もともとうまくいっていなかったのである。対面でもテレワークでも使える部下の指導方法を学ぶ。

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 そこで、3カ月前に『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート(アスコム)』という本を書いた。この巻末に、3カ月分の部下ノートの練習用フォーマットがついている。自由に書きなさいというと、効果が得られない、継続できない書き方になってしまうことが、この本を書いた背景である。

部下ノートと行動改善コーチングでもう1歩踏み込む

 部下ノートは、(1)部下の行動、(2)自分自身の感じ方、アプローチの2つを、それぞれ3行で書くだけである。日記ではないので、毎日書く必要はない。気になったときに、気になったことを書くだけで効果がある。当初は、部下の悪口ばかりかもしれないがそれでもいい。書き続けていると、視野が広くなり、だんだん良いことを書けるようになる。

 部下ノートを書き続けて、行動が増え、成果が増えれば「◎」で問題ない。行動は増えたが、成果が変わらないのは「△」で、行動があっていない、あるいはもう少し継続してみることが必要。行動は増えたが、成果が下がるのは「×」で、新しいことが負担になっている。部下ノートを続けると、こうしたことが分かってくる。


「部下ノート」で測るべきもの

 部下ノートを書き、行動改善コーチングにより、もう1歩踏み込むことができる。コーチングと行動改善コーチングの違いは、コーチングは、答えは部下が持っていて、上司は支援に徹するが、行動改善コーチングは、答えは部下と上司が2人で考え、上司は自分の経験に基づいて具体的なアドバイスをし、最終的には部下が選択する。

 コーチングのメリットは、考える力が身につくことで、行動改善コーチングのメリットは、すぐに成果に結び付くこと。一方、コーチングのデメリットは、部下が違う方向を選択しても修正がしづらく、成果が出るのに時間がかかることで、行動改善コーチングのデメリットは、押し付けになりやすく、上司の面談力、フィードバック力が必要なことである。

 師匠でもある故・無能唱元氏が、(1)生存本能、(2)群居衝動、(3)自己重要感、(4)性欲、(5)好奇心という五大本能論を説いているが、特に(3)自己重要感(われわれは生まれながらにして人より勝りたい、人より有能であるとの証拠を常に自分自身に確認したい)は重要で、部下ノートを書いていると部下の(3)自己重要感が分かってくる。

部下の指導は「原因自分論」で取り組むことが重用

 人事コンサルティングの分野、特に教育の分野では「反転学習」という言葉が使われている。従来型の学習は、集合研修でディスカッションを行い実践する。反転学習では、まず短い動画を見せ、すぐに実践し、ディスカッションを行って、再度実践する。これにより、Off-JTの時間を短くすることができるメリットがある。


従来型の学習と反転学習

 反転学習は、コロナ禍に有効な、新しい学びの手法だと思っている。これまでは1泊2日の幹部研修を行っていたが、現在は30分程度の幹部研修動画を作り、それを見て実践してもらい、その後集まるという研修方法に変えている。研修方法が変わったので、指導方法も変えていかなければならない。これを「反転指導」と呼んでいる。

 反転指導では、これまでのように部下に任せたと丸投げし、気の向いたときにどうなったと確認するのではなく、部下のレベルにあわせたツール、やり方をリモートで指示し、部下に実践させ、メンバーとディスカッションや懇親の後に、さらに実践する。反転指導を部下ノートともに活用することで、さらに有効が期待できる。

 高原社長の秘書を400日勤めて、毎日言われたのが「原因自分論」という言葉である。原因自分論とは、人口減少や市場の変化など、自分を取り巻く環境は自分では変えられないが、部下、上司、お客さまなどの周囲は変えることができるということ。他人を変えることは、部長でも、課長でもできない。部下の指導は、自分のアプローチを変えると部下も変わるかもしれないくらいの気持ちで取り組むことだ。

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