一流の人は、教わり方が違う:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
教わり方を考えたことがあるだろうか。教わり方を変えることで、他では手に入れにくい情報にふれ成長することができる。
教える側は、たとえ30秒だろうが、1分だろうが、本業の時間をとめて教えるエネルギーを割いています。それに対してリスペクトを持たないのは失礼です。「ちょっと」の気分で言っていると解釈されると、本気では教えてもらえなくなります。
結局、損をするのは教わるほうです。二流は、ここで教える人がカチンときていることに気付かないのです。気付くには、教えてくれる人に、リスペクトを持つことです。
一流は、お金を払って聞く。二流は、「タダで教えてください」と言う。
何かを教わる時、知恵を受け取る時には、それに対する対価が発生します。習い事なら月謝を払います。
情報にも、それに対してお金を払います。情報をもらったら、それに見合う情報を渡すことが求められます。
ところが、教えられる側はプロに教えるに見合う情報を持っていません。本来、お金を払わなければならないところです。
上司にお金を払えという意味ではありませんが、教わるのは「タダではない」という意識を持つことが大切です。上司と部下の関係なら、自分の成長とか、仕事で結果を出すとか、出世払いという形で返します。
「どうせ教えるのはタダでしょう」という感覚ではいけないのです。
例えば、本屋さんには著者が人生をかけて、手間ひまかけて、取材し考え、書いた本が並んでいます。ここで「この本、ちょっともらって帰ります」と言う人はいません。
モノに対してはそんなことはしないのに、知恵を持つ人間には「ちょっと知恵をください」と言うのはおかしいのです。その人は一生の財産をつぎ込んで、一生を棒に振って、その知恵を手に入れているのです。
そのぐらい人生をかけてきたものに対して、二流は、道を聞くように簡単に「ちょっと教えてください」と言ってしまうのです。
一流は、たったひと言の教えでも、そこにたどり着くために莫大な時間とお金と労力をかけていることが分かっています。
手相家に「ちょっと手相を見てください。ちょっとでいいですから」と言う人がいます。その人は、二流です。手相家がそのひと言を言うために、どれだけのお金をかけてきたか、分からないのです。
リスペクトがあれば、無料で済ませることはなくなるのです。
本書は2017年6月に刊行された単行本『成功する人は、教わり方が違う。』を改題し、再編集したものです。
著者プロフィール:中谷彰宏・作家
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。セミナー、ワークショップ、オンライン講座を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は『一流の人は、教わり方が違う。』(河出書房新社)など、1090冊を超す。
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