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人生とは今日1日のことである。「今ここ」に集中できる人が成功も幸福も手にするワケビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

今日という1日、この24時間は、あらゆる人に平等に与えられている唯一のものだが、「24時間をどう使うのか」という問いは、人類にとって永遠の課題である。

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結果ではなく、自分の「決定」に価値を感じること

 24時間、何にリソースを割くかを選択し、目の前の好きなこと、やりたいこと、やるべきことに集中した結果、もしかしたら「自分の選択は間違っていたのではないだろうか」「時間をムダにしたのではないだろうか」「ほかにやるべきことがあったのではないだろうか」と思う人もいるかもしれません。

 しかし、私は、やるべきことをやった結果ではなく、やるべきことを自分で選択し、それを実行することにこそ意味があると考えています。

 今、やるべきことを決断する。

 やるべきことに集中しようと決断する。

 そんな「自分自身で決断する行為」こそが、私たちが今を必死に生きている証しだからです。

 なお、神戸大学の西村と同志社大学の八木が、全国の20歳以上70歳未満の男女2万人を対象に行った調査によると、幸福感に与える影響力は、

 健康 → 人間関係 → 自己決定 → 所得 → 学歴

の順だったそうです。

 健康や人間関係には及びませんが、自己決定は所得や学歴以上に、人間の幸福感を左右します。人間には生来的に、自分で行動を選択したいという欲求が備わっており、それを他者によって強制されたり奪われたりすると、たとえ自分にとってプラスとなる提案であっても、無意識に反発的な行動をとる傾向があります。

 家族や上司、同僚などからあれこれうるさく指図をされたり、自分の行動を勝手に決められたりすると、腹が立つ、もやもやする、モチベーションが下がる、という人は少なくないでしょう。

 しかし、どんな仕事でも「自分の意思でこの仕事をしている」と感じられれば、モチベーションはあがり、おのずと結果は変わってきます。

 人は、自分自身で決定することによって責任や誇りを持ちやすく、努力を惜しまないため目的を達成しやすく、幸福感も高まりやすくなるのです。

「自分の責任にしたくない」という欲求を捨てる

 もう1つ、自分で選択をし、好きなことややりたいことに集中する際には、「うまくいくかどうか分からないけど」「自分なんかにできるか分からないけど」といった言葉を使わないことが肝心です。

 日本には、わざとへりくだり、控えめでつつましい態度をとる「謙遜」の文化があります。

 コミュニケーションをとる際には、謙遜してみせることが、相手からの好意を得るうえで有効なこともありますが、成果を上げなければいけないときに、例えば「準備不足で……」「経験不足で……」などと言うことは、あらかじめ予防線を張り、失敗したときのための言い訳をつくる行為であるともいえます。そして、こうした行為のことを「セルフ・ハンディキャッピング」といいます。

 セルフ・ハンディキャッピングは、うまくいかなかった場合に自分のプライドを守るための行動であり、「自分の選択の結果に責任を持ちたくない」という欲求の表れでもあります。

 また、自分にハンディキャップ(言い訳)を課すことで、自分と向き合えなくなり、足りないところ、良くないところなどを改めることができなくなるともいわれています。

せっかくやるべきことを判断し、取り組もうとしても、逃げ道を用意すると、どうしても油断が生まれ、集中力が落ちてしまうでしょう。

 自分が一度下した判断には責任を持ち、逃げ道を用意しない。

 24時間、やるべきことに集中するうえでも、ビジネスで成果を上げるうえでも、人生を充実させるうえでも、その姿勢は非常に大事だと私は思います。

明治大学法学部教授。言語学博士。

熊本県生まれ。シカゴ大学博士課程修了。ヨーク大学修士課程修了・博士課程単位取得退学。

専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学などさまざまな学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。「明治一受けたい授業」にも選出されるなど学生からの人気も高い。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SBクリエイティブ)など著書多数。


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