リーダーの快眠がチームのパフォーマンスを左右する「働くリーダーの快眠法則」:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
誰もが毎日行っている「睡眠」という行為。しかし、日本人は世界で最も睡眠が満足に取れていないという。良い睡眠は、生活や体のパフォーマンスをアップさせると睡眠改善のプロフェッショナルスリープコーチの角谷リョウ氏は話す。
成功率80%以上の睡眠改善4ステップ
角谷氏は書籍「働く50代の快眠法則」にて睡眠改善する4ステップを発表している。この4ステップを行うことで、睡眠不調で危険のレベルにある人の80%が安全圏に改善するという。その内容は以下の通りだ。
- ステップ1:睡眠環境の最適化……環境を変えることは最も心理的ハードルが低い
- ステップ2:睡眠圧を上げる……睡眠圧とは寝るための圧力のことで、次に寝られる負荷を上げる(実は楽)
- ステップ3:寝る前に体をリセットする……日中の悪い姿勢や力が入った体を、寝る前にリラックスさせる(少し難しい)
- ステップ4:寝る前に脳をリセットする……最後「思考・意識」をリラックスさせる(かなり難しい)
「ステップ1のみで30%の人の睡眠が改善します。睡眠環境を3つ変えるだけでかなりの人が安全圏に入るでしょう。また、各ステップに『お手軽コース』と『本気コース』があるので、お手軽コースで手応えがつかめたら、さらに本気コースで試して解決するのもよいでしょう。ほとんどの人が意識から変えようとして失敗するので、心理的ハードルが低いステップ1から順々に思考を変えていくのがおすすめです」(角谷氏)
ステップ0「夜のトイレ対策」
4つのステップを実践する前に、試してほしいのが夜のトイレ対策だ。40代で40%、50代で60%、60代で80%以上の人が夜中にトイレで起きてしまっている。夜のトイレを改善するためには、以下の3つの対策が有効だ。
(1)寝る前に水分を取らない
(2)下半身の水分を上げる
(3)お腹を温める
「夜のトイレ対策は、これだけでもかなり有効です。寝る1〜2時間前には水分を取らないほうが良いです。年齢が高くなると下半身に水分がたまるので、足を10センチほど高く上げて30分横になるのが有効です。30分横になるのが難しい場合は、横になって足を高く上げた状態で足首を中心に素早く足をゆらゆらと揺らすと良いでしょう。30回を3セットくらいが理想です。そしてお腹が冷えるとトイレに行きたくなります。夜に腹巻きなどでお腹を温めるとトイレに行く率が下がります。この3点を実行するだけで、夜のトイレはかなり改善されます」(角谷氏)
ステップ1「睡眠環境を改善する」
睡眠状態を改善するのに手軽で最も効果が大きいのがステップ1だ。睡眠環境の最適化のために『お手軽コース』から始めるといいだろう。
睡眠環境の最適化『お手軽コース』ベスト3
ベスト1『光環境の改善』
- 寝る1時間前に天井照明の明るさを落とす
- お手軽な間接照明を購入する
- 蛍光灯を白色系から暖色系に変える
ベスト2『マットレスの改善』
- 段ボールを敷布団の下に敷く
- すのこを敷布団の下に敷く
- 薄いマットレスを今のマットレスに重ねる
ベスト3『目覚ましの改善』
- 携帯電話の目覚ましを枕元以外に置く
- 携帯電話の目覚ましをベッドから離した所に置く
- 秒針の音が静かな1000円程度の目覚まし時計を購入する
ステップ2「睡眠圧を上げる」
「睡眠圧」とは、眠っていない時間が長ければ長いほど、睡眠圧が高くなり睡眠が深くなるという睡眠の仕組みのことだ。頑張って起きれば、その分睡眠圧は高くなる。体を使ったり、慣れないことをやったりすることでも、睡眠圧は高くなる。体と脳に適正な負荷がかかることで睡眠圧が上がり、睡眠状態が良くなるのだ。
「ホワイトカラーの人の多くは、睡眠圧が低いので、日中しっかり起きていれば良い眠りはやってきます。寝ようとするのではなく、日中ちゃんと起きて、体内時計のスイッチをしっかり入れれば、睡眠圧が上がり夜は起きていられなくなるので、必ず寝られます」(角谷氏)
睡眠圧を上げるには、大きく3つのステップがある。
- ステップ1 朝の目覚めスイッチを入れる
- ステップ2 体への強い負荷をかける習慣
- ステップ3 脳への強い負荷をかける習慣
今回は、睡眠圧を上げるための「ステップ1朝の目覚めスイッチを入れる」方法を紹介する。
朝の目覚めスイッチを入れるためには、朝に時計遺伝子をONにすることが重要だ。時計遺伝子をONにすることで、その何時間後に眠くなる、というふうに体内リズムが決まっている。時計遺伝子をONにして目覚めスイッチを入れるためには、以下のアクションが有効となる。自分の生活の中に可能なアクションを取り入れて、朝しっかり目覚めて睡眠圧を上げるようにしたい。
- アクション1「光を浴びる」
- アクション2「空気の入れ替え」
- アクション3「うがいをする」
- アクション4「歯磨き」
- アクション5「水・白湯を飲む」
- アクション6「シャワーを浴びる」
- アクション7「ウォーキング」
- アクション8「掃除」
- アクション9「ストレッチ・体操」
- アクション10「好きなことをする時間を作る」
「朝に光を浴びたり活動をすると、体温が上がってセロトニンというホルモンがでます。このセロトニンが夜にメラトニンに変化し、メラトニンには催眠作用があるので、眠くなります。今回はステップ1を紹介しましたので、ステップ2、ステップ3は書籍『働く50代の快眠法則』を参考にしてくださいね」(角谷氏)
リーダーが睡眠を取れていないと、周りから避けられるようになってしまう。人は無意識ながらも睡眠不調の人には無意識に近寄りたくなくなるので、リーダーが睡眠を取れていないと大きなコミュニケーションロスが発生する。
角谷氏は「チームの雰囲気はリーダーの睡眠にかかっています。リーダーは睡眠不調を改善して、チームを活性化してください」とまとめて講演を終えた。
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