「苦手だな」と感じる人とのちょっとした雑談をどうしたらいいか:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
部下との距離の詰め方に悩むとき、得意先の苦手な人と絡まざるを得ないときなどには、ちょっとした雑談が全てを解決してくれたりする。
話が合わないと思った人とどう接するか
「あぁ、この人とは合わない」
「私とは反対の考え方だな」
話をしているときに、そんなことを思うことがありませんか。どうしても相手の話に共感できないとき、どんな反応をしていますか。まさか、面と向かって自分の意見をぶつけていませんか。相手の意見と真っ向からぶつかるようなことは、あまりおすすめしません。
私がおすすめしたいのは、「とりあえず共感」です。相手と話が合わないと思ったら、とりあえずの「共感」を示すのです。ここでいう共感とは、相手の意見に賛同することではなく、相手の意見を受け止めたという、サインとしての共感です。
無理に相手の意見に賛同する必要もないですが、その場で反論する必要もありません。いろいろな環境で育った人が、さまざまな意見を持ったまま、一時のおしゃべりを楽しむ。それが雑談です。
意見が違った場合、相手の意見を尊重したうえで、自分の意見を添えることはあってもいいいでしょう。ただ、意見を戦わせるのが雑談の目的ではないと思うんです。
なので、まずは、「この人はこういう意見を持っているんだな」と冷静に受け取って、あとは「あなたの意見は理解しました」という共感を示せばいいのです。
受け止めて、共感する。
ぜひ、覚えておいてください。相手と反対の意見を持っているのに、いくら受け止めるという意味でも、共感を示すのは難しいと感じる人もいるかもしれません。
ただ、多様な意見があるのは当たり前のことですし、 違う意見に対して感情だけで反発してしまうのはもったいないと思います。ここで、共感をうまく示すテクニックを紹介します。
作家の石田衣良さんは、「大人の放課後ラジオ」というYouTube チャンネルを持っています。本のこと、人生のことなどについて、仲間と3人で語り合うのですが、その口調がとてもやさしい。芯があり、厳しい口調で反論することもあるのですが、それを感じさせない共感力があるのです。
秘密は、石田さんの話し方、特に、語尾にあると私は感じました。「そうだねぇ〜」「いいよねぇ〜」「困っちゃうよねぇ〜」と、相手の言葉に共感して、語尾を少し長くして語っているのです。
これが、相手に寄り添っているように聞こえるのです。この方法は、雑談でも使えると思いました。ただ、この話し方は、石田さんだからこそできる部分もあるでしょう。いきなり同じようには話せないかもしれません。
そういうときは、「そうですねぇ」「いい感じですねぇ」「困りますねぇ」と、ていねいな言葉を使いましょう。語尾を「ねぇ〜」と伸ばしきるのではなく、小さい「ぇ」でとどめておくのです。語尾に親しみを込めるだけで、簡単に共感を示すことができます。
たとえ、相手と意見が合わなくても、「そうですねぇ」と答えていれば、共感を表現できます。自分の本当の意見は、もっと仲良くなってから言い合えばいいのです。とはいえ、語尾を伸ばす方法では「なれなれしく思われないか」と心配な人もいるかもしれません。
では、もうひとつ、「共感」を込めた返答ができる方法を教えますね。それは、「分かります」という言葉を使うこと。相手の発言に対して、「(あなたのお気持ちは)分かります」という気持ちで返事をする。どうですか、これならできそうでしょう。
人は、話しながら「私の言っていることが、相手に通じているだろうか」と、常に心配しています。それゆえに、「分かります」という返事は、この話し手の心配をきれいに解決してくれる、便利な言葉なのです。
共感と思いやりは、人が人に与えられる最高のプレゼント。相手と、より親しくなるために、まずは「共感」を示すことから、はじめてみませんか。
著者プロフィール:ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント、大阪芸術大学放送学科客員教授
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動。幅広い業種・世代間のギャップなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『分かった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と支持を集める。教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人集まるほどの人気ぶり。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)など。
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