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AI時代に求められるデータドリブン経営 大事なのは「顧客理解」ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

顧客行動を、購買プロセスや財務データ、リピート状況などから多角的に細かく分析し、理解することで、ターゲット顧客が喜んでくれる施策を考え、実行している。

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 どのように顧客数を増やし、どのように売上を再成長させるかが、まさに喫緊の課題。私が一休と出会った2012年ごろは、ちょうどそんなタイミングでした。

 この時期を境に、一休は、事業をどのように改善すべきかをデータ(≒顧客)に教えてもらう「データドリブン」へと大きく舵を切りました。

 ほんの10年ほど前のこととはいえ、当時はデータの重要性を理解している人は今よりもずっと少なかったと思います。この10年の間に、技術は目覚ましく発展し、取得できるデータもぐっと深くなりました。

 さまざまな顧客行動がデータで捕捉できるようになった今、顧客を起点に考えることは、すなわちデータを起点にビジネスを組み立てていく「データドリブン」を実践することとイコールなのです。

 また、AIによる予測や提案も、日進月歩で緻密になっています。特に、ChatGPTをはじめとした生成系AIが躍進した2023年は、重要な転換点になったのではないでしょうか。今、各社がAIを事業に生かす取り組みを始めていて、今年以降、AIで明らかに業績が伸びたという事例が出てくるでしょう。

 入手できるデータが飛躍的に増えて、データの処理能力が劇的に向上していくので、企業にとってはますますデータドリブンの意思決定が進んでいきます。一方、最終の意思決定は人間が担う点は変わりません。その判断材料は、データとAIがこれまでより豊富に、そして解像度高く用意してくれますが、経営における判断は今後も人間が下すことになるでしょう。AIの唯一の栄養源であるデータ(≒顧客)を正しく理解し、活用することが、日本企業の経営層にも求められているのです。

 あなたが自らデータを見ても、リーダーシップを発揮してデータ人材と協業しても、いずれの方法でも構いません。データを企業経営に活用することがとても大事なこの時代に、自分の会社にとって最適なデータドリブンのモデルを創造することを目指してほしい、という思いから、本書を執筆しました。

 データドリブンをピュアに実現・実践している人が、本当に成果を上げられるようになってほしいと考えています。そして、顧客をボスとし、顧客に忠実である「データドリブン経営」を1社でも多くの企業が実践し、大きな成果を実現するビジネスパーソンが世の中に1人でも増えることを願っています。

著者プロフィール:榊 淳/一休 代表取締役社長

慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)にて金融工学を駆使したトレーディング業務に従事。2001年に米国スタンフォード大学院のサイエンティフィック・コンピューティング学科修士課程を修了後、約10年間コンサルタントとして活躍。 2013年に 株式会社一休に入社し、2016年に代表取締役社長に就任。2023年からはLINEヤフー株式会社 執行役員 コマースカンパニー トラベル統括本部長も務める。ほかにも、「国際医療ボランティア団体」特定非営利活動法人ジャパンハート 理事、株式会社じげん 社外取締役を務める。


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