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大失敗しない「部下の育て方」とは…… どうするこれからの大企業管理職ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

あまりにもホワイトな環境は、若者にとってかえって“ぬるい”と思われ、離職理由になっているという。成長したい若者と、育て方が分からない上司の間で、非常に不幸なすれ違いが生じている。

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 経験のある上司からすれば、どんな細かな作業も会社のビジョンにつながっていることが理解できているかもしれませんが、若い部下はまだそこまでの視座に立っていないことを無視してはいけません。そんなときに彼ら彼女らの指針になるのは、もっとも身近な上司が掲げるビジョンです。

 「会社のビジョンを実現するために、私は自分のチームがこうあってほしい」そんな文脈を、管理職である皆さんが作ってあげてください。

承認より効力感を与える

 2つ目のキーワードが効力感です。

 最近は若者の承認欲求が注目されがちですが、実は一方的な承認だけでは部下はついてきてくれません。何でも褒めてばかりでは、部下は成長の実感を持ちにくいからです。まさにホワイトすぎる“ぬるい”職場になってしまいます。

 部下に辞めてほしくないばかりに優しく接しすぎてしまうケースもあるでしょうが、それでは不十分です。

 そこで重要なのが、部下の効力感を刺激してあげることです。

 効力感とは、何かを実行したときに、それによって何らかの結果が引き起こされている実感のことです。

 例えば部下に資料を作ってもらったならば「あの資料、お客様がすごく分かりやすいと言ってくれて、おかげで商談がスムーズに進みそうだよ」などと結果をフィードバックすることで、部下は効力感を得られます。

 もちろんネガティブな結果もあるでしょう。「資料の要点が分からないと言われちゃったから、次はここをよくしたらもっといいものになるよ」などと課題を伝えることでも、やはり効力感を得られます。

 よくないのは「ありがとう。あとはこっちでうまくやるよ」とか「いやあ、こっちのミスだから気にしないで」と、部下をかばうつもりで蚊帳の外に置いてしまうことです。これでは部下は、自分が懸命にやった仕事にどんな意味があったのかも、よかったのか悪かったのかも分かりません。

 できるだけ細かくフィードバックするのが理想ですが、それが難しければ最低でも月1回の短いスパンで面談をすることをお勧めします。なぜ短いスパンがいいのかというと、時間がたつほど正しくフィードバックできない可能性があるからです。

 「期末効果」という言葉を知っていますか? 評価期間が長くなればなるほど、評価が直近の記憶を受けやすくなる現象です。

 6カ月前や1年前のことをはっきりと覚えている人はほとんどいません。結局は最近の出来事の印象に引っ張られた評価をしてしまうのです。これでは、社員を正しく評価してあげられないし、社員も納得できません。

 1カ月に1回の面談なら30分程度で十分です。内容も、社員の声に耳を傾けることを意識してください。

著者プロフィール:小川実(おがわ みのる)

一般社団法人成長企業研究会 代表理事。一般社団法人相続診断協会 代表理事。HOPグループ代表。1963年生まれ、岐阜県岐阜市出身。河合会計事務所、野村バブコックアンドブラウン株式会社勤務を経て、2002 年に税理士法人HOPを設立。現在は社会保険労務士法人HOP、行政書士法人HOP、株式会社ワンストップHOP、株式会社HOPコンサルティングを加えてHOPグループを形成。3資格の総合的な経営コンサルティングで、中小企業のかかりつけ医として経営者のサポートを行う。2020年には一般社団法人 成長企業研究会を設立。小さな会社の成長こそが日本を元気にするという理念のもと、経営の仕組み化を支援している。


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