2024年の旅行業界でも、「オーバーツーリズム」はホットな話題でした。今年も世界各地の観光地が、来訪者の増加による悪影響を抑えようと、短期滞在の禁止や新たな観光税の導入を試みました。
そうした努力にもかかわらず、悪化の一途をたどっている場所は少なくありません。では、今オーバーツーリズムに直面しているのはどこなのでしょうか。
それを知るには、旅行専門誌であるFodor'sが最近発表した「訪れるのを止めるべき観光地リスト」(No List)を見るといいでしょう。土地や地域社会が存続不可能になるほど観光から負荷を受けている場所に焦点を当て、同誌が毎年まとめています。
このリストには、2つのカテゴリーがあります。1つ目は「常に旅行先の候補にするべきではない観光地」。これはオーバーツーリズムの影響にしばらく悩まされていても、問題を緩和するための進展がほとんど見られない場所をピックアップしたものです。
このカテゴリーの筆頭となったのがバリ島。インドネシア・バリ州中央統計局によると、同島は2023年に530万人の外国人観光客を迎え入れ、2024年7月末までにその数は22%まで増加しました。
バリ島の問題は、島の経済が観光業をはじめとするホスピタリティー産業に依存している一方で、その基盤となる自然環境が損なわれているところにあります。かつては手つかずの美しさを誇ったクタやスミニャックのビーチも、現在はゴミで覆われているのです。さらに、地元の廃棄物処理システムが需要に追いついていないといいます。
2つ目のカテゴリーは「影響を受け始めている観光地」です。このリストに入った場所の一つが、2020年以降に観光客数が77%も増加したメキシコの都市オアハカ。その影響で同地では、スペイン語よりも英語を耳にすることが増えています。
また、オアハカでは家賃の急激な値上がりにより、長年住んでいた住民が中心部から離れざるを得ないケースが増加。水道や交通といった公共サービスも悪影響を受けています。また、多くの地元住民が、メスカルや「ゲラゲッツァ祭り」といった彼らの文化の重要な要素が商業化されていると感じています。
「影響を受け始めている観光地」には日本からも、海外からの観光客のほとんどが訪れるといわれる東京と京都がリスト入りしています。
各カテゴリーで選ばれた観光地は以下の通り。
常に旅行先の候補にするべきではない観光地
- バリ(インドネシア)
- バルセロナ(スペイン)、マヨルカ(同)、カナリア諸島(同)、ベネチア(イタリア)、リスボン(ポルトガル)などを含むヨーロッパの観光地
- サムイ島(タイ)
- エベレスト山
影響を受け始めている観光地
- アグリジェント(イタリア)
- ヴァージン諸島(イギリス)
- ケララ(インド)
- 京都、東京(日本)
- オアハカ(メキシコ)
- ノースコースト500(スコットランド)
「2025年に訪れるのを止めるべき観光地は?」では、さらに情報を紹介しています。是非チェックしてみてください。
著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部
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