東京には、あらゆる客に応える巨大ストアから、ニッチなコレクターを魅了する専門店まで、星の数ほどの店が存在します。ファッションひとつとっても、ドメスティックブランドで最先端のハイエンドファッションに身を包むも、マニア垂涎もののスニーカーを手に入れるも、すべて望むがまま。毎日に新しい風を吹き込みたいなら、ユニークなテーマを掲げるコンセプトストアや、日々の生活を豊かにするライフスタイルショップを巡ってみるものもいいでしょう。ここでは、新たに加わった旬のヴェニューから定番の老舗まで、タイムアウト東京選りすぐりのショップを紹介します。
まず一件目に紹介するのは、浅草にある古道具商店、東京蛍堂。浅草六区通りで「モボモガ御用達」という看板を見つけたら、そこが蛍堂の入り口。幅一間ほどの小径を進み、ガラス張りの細長い建物に足を踏み入れると、割れたラジオの音が迎えてくれることでしょう。着物やランプ、食器やラジオなど大正時代のものを中心に、様々な雑貨が所狭しと並べられています。店内にあるものはすべて触れ、また家に持ち帰ってすぐに使うことができるというから驚きです。例えばランプはLED仕様に、またラジオはスピーカーとして「iPhone」をつなげるように修理されています。それらの修理を手がけるのが店主の稲本さん。夫婦で全国各地から日本の小道具を買い付け、使えるようにして販売しているそうです。同店の建物も、元は食堂だった建物を改築したそう。稲本は若い世代に、また海外の人にも日本文化のルーツに触れることのできる場所として同店を開いているのだと話してくださいました。
近年、レコード盤とともに若者から再度注目を集めているカセットテープ。中目黒の住宅街の中にあるWALTZは、そのカセットを専門に扱う店です。クリーンな空間に、オーナーのコレクションである貴重な約4500本のカセットテープがずらりと陳列されています。そのほかにもレコード、VHS、国内外のヴィンテージ雑誌、ラジカセなどアナログにこだっわった品揃えです。商品を試聴できるコーナーもあり、宝探しについつい時間を費やしてしまうでしょう。
最後に紹介するのは山形県天童市に本社を構える家具メーカー、天童木工のショールームです。今年のリオオリンピックにおいて卓球台を三英と共同で手がけ、そのデザインが注目を集めたことは記憶に新しいのではないでしょうか。天童木工は、薄くスライスした木の板を重ね合わせる「成形合板」という技術により、美しい流線を持つ家具を作り出してきました。同社の代名詞とも言える「バラフライスツール」は柳宗理のデザインよるもので、文字通り横から見ると蝶のような椅子は、天童木工の名を知らない人でも一度は見たことがあるのでは。社外からデザイナーを起用することでも知られ、磯崎新、丹下健三、剣持勇など錚々たる面々が名を連ねます。同社の手がける製品に実際に触れることができる貴重なヴェニューといえるでしょう。
「東京、ベストショップ100」では、ファッションからインテリア、酒から手芸まで、タイムアウト東京が太鼓判を押す素晴らしいお店を100件紹介しています。まだ知らない魅力的な店を探しに、東京の街へ繰り出してはいかがでしょう。
著者プロフィール:タイムアウト東京 編集部
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