会社を変えた社員の声――富士ゼロックスが見つけた次の価値(2/2 ページ)
社員の意識改革の必要性を感じた有馬氏は、2つの施策を打った。どんな変化にも対応できる組織を目指す「New Xerox Frontier運動」を通じて社内に方針の浸透を徹底し、組織の要となる1500名のマネジャーには、チェンジ・マネジメント・プログラムで意識変革を促した。
これらの取り組みは功を奏した。特に、技術や営業など部門の垣根を越えて行ったチェンジ・マネジメント・プログラムは、全社的な危機感とコミュニケーションを生み出し、仕事の進め方の改善につながっていった。業績も右肩上がりで回復し、2007年度の利益は95年度の2倍の規模に達するほどだ。
社員の意識改革がもたらしたもの
こうした社員の意識変革の取り組みを通じて、社員から寄せられた疑問が、有馬氏に“企業の在り方”を見直させる契機になったという。「社員の意識変革を進める過程で、ゼロックスとして今後、どんな価値観を共有すべきかとの話題が社員から上るようになった」のだ。
「企業としてのビジョンの必用性を痛感し、CSRをいかに捉えるべきかを真剣に協議すべきだろうと考えるようになった」
富士ゼロックスの「世の中に対する価値の提供」という使命は、こうして誕生したものだという。
CSRが新たなイノベーションを生む
コフィー・アナン元国連事務総長の提唱によって発足した「グローバル・コンパクト」(GC)の一員に同社が名を連ねるのも、この理念と一致しているからこそだ。CSRへの対応を進めることが、企業には多様なメリットがもたらされることに気が付いたわけだ。
「二酸化炭素の排出量の削減など、CSRの実現に向け企業はさまざまな課題に直面している。ただし、それらを乗り越えた暁には、競争力の強化や、新ビジネスの創造といった大きなメリットを享受できる」
コンプライアンスに代表される社内レベルでの取り組み1つをとっても、社内の不正防止の徹底につながり、ひいては成長に向けた機会損失の削減とっいた効果が期待できる。また、省エネ商品の開発など、消費者に対する取り組みは他社との差別化になる。環境に優しい技術は、カスタマーロイヤリティーやブランド力の向上につながってくる、という。
社員の意識改革の中から上がってきた声が、富士ゼロックスの経営陣に次なる価値を見つけ出すきっかけを与えたのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
TDKがCEATEC出展 映像を網膜に直接投影するミラー、スマートグラスに鮮明な映像
-
2
「漏洩連絡が来た…」自分の個人情報が流出したら? 二次被害を防ぐ、対処法と日頃の備え
-
3
国産フィジカルAIで変電所メンテナンス改革 西武鉄道が「ugo mini」の実証実験
-
4
データを「重さ」に変えた直感ゲームがグランプリ e-ZUKAスマートアプリコンテスト2026
-
5
DX・AXプロジェクトの成功に必要な条件とは - コスモエネルギーHD ルゾンカ氏
-
6
公共交通インフラの使命を軸に、事業継続への攻めと守りを大胆に実行する - JAL 鈴木氏
-
7
第1回ドラッカー「部下をつぶす上司と部下を生かす上司の違いとは?」
-
8
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
9
「身代金は支払うべきか」――YKK APが7年越しに気付いた経営とセキュリティの視点のギャップ
-
10
リーダーが抱える20の悪い癖
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー