トレンドフォーカス
経営者が知っておくべきITトレンド技術の勘所(2/2 ページ)
マイクロソフトが新たな仮想化戦略を展開
今後は仮想化をうまく使いこなす技術力が、IT市場での競争力を左右するともいわれていることから、ここにきてハード・ソフトメーカーの多くが本格的に取り組んでいる。中でもいま一躍脚光を浴びているのが、創業10年足らずのソフトベンチャー、米VMwareだ。同社は他社に先駆けてPCサーバ用の仮想化ソフトを投入。その先進的な機能が評価され、今ではPCサーバーメーカーの大半が採用している。
マイクロソフトが仮想化に本腰を入れ始めたのは、このVMwareの台頭も大きく影響している。マイクロソフトにとっては、OS選択の自由度が高まる仮想化で、VMwareなど他社に主導権を握られれば、収益の柱であるWindows事業の優位性が揺らぐ恐れがある。そのため、Windowsの競争力強化と並行して仮想化にも力を入れ始めたのである。
マイクロソフトは今回の新たな仮想化戦略の目玉として、今年4月に本格出荷を始める次期サーバ用OS「Windows Server 2008」に同社独自の仮想化ソフトを標準装備し、VMwareが先行する仮想化ソフト市場での巻き返しを図る構えだ。ともあれマイクロソフトが本腰を入れ始めたことで、仮想化技術の普及は今後急ピッチで進みそうだ。
仮想化が不向きな分野と陥りがちな落とし穴
ただ、業界関係者の中には、昨今の仮想化ブームともいえる風潮を懸念する声もある。大手システムベンダーでサーバの開発に携わるエンジニアはこう警鐘を鳴らす。
「仮想化はそれそのものがソリューションなのではなく、あくまでツールだと認識しておくことが大事。もともと余裕のあるリソースを有効活用するべく生み出されてきた技術だが、例えばサーバの場合、CPUの処理能力には余裕があるとしても、メモリ容量や入出力部分の処理能力には余裕がないケースがある。サーバ仮想化というとCPUリソースの有効活用ばかりに目を奪われがちだが、メモリや入出力部分も仮想化に対応できるリソースがないと全体として効果を生み出すことはできない。システム全体の仮想化をバランスよくプランニングし構築していくことが肝要だ。そうした認識をしっかり持っておかないと、仮想化したけど思うように効果が出ない、追加リソースに余計な費用がかかってしまった、といった状況に陥りかねない」
また、仮想化技術に詳しい業界関係者も「サーバ仮想化は今後さまざまな用途に活用されていくだろうが、用途として向いていない分野もある。例えば、オンラインレスポンスが要求されるシステムやリソース使用率が常に高いシステムがあげられる。そうした点をあらかじめ考慮しておく必要がある」と指摘する。
これらの仮想化における注意点については、ITシステムの構築・運用担当者はもちろん、経営者も知っておくべき勘所ではないだろうか。仮想化はあくまでツールかもしれないが、それを有効活用するには的確な経営判断が要求されるケースも出てくる。技術の詳しい内容は別としても、その本質や効果におけるポイントは押さえておきたいところだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
2
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
3
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
4
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
5
イオン、フィジカルAIで物流改革 配送拠点の自動化率5割達成 深刻な人手不足に対応
-
6
コミュニケーションの質が一変! 心理カウンセラーの「聞く技術」とトレーニング法
-
7
子供の夢をYouTuberからホワイトハッカーに! 具現化を進めるCISO - GMO 牧田氏
-
8
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
-
9
チェキの新製品、タッチパネル式大画面を初搭載 富士フイルムが2機種新発売へ
-
10
「現実にCtrl+Zはない」──フィジカルAI時代に企業が備えるべき新役務「AIスチュワード」とは
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー