新世紀情報社会の春秋
マドンナの新しい契約の意味――希少性や体験性に価値(1/2 ページ)
Napsterの功罪
前回従来型の音楽販売ビジネスは、CDから配信への移行が本格化する一方で、その規模を大きく成長させるのは難しいのではないだろうか、と述べた。
音楽販売においてネット配信がCDを追い抜くのは、おおむね2011年ころとの見方が有力だ。冒頭で述べたアップルの配信サービスがスタートしたころの見通しと比較すると、意外に速いペースで配信への移行が進んでいる。インターネットでの音楽流通は、アメリカのP2Pサービス「Napster」が最初にそのイメージを示したといっていいだろう。
1999年に始まるや大変なブームを巻き起こしたこのサービスは、音楽好きの生活者には夢の世界を提示し、音楽会社にはまさに悪夢を覚えさせるものとなった。少し乱暴な言い方だが、アップルのサービスでもそのスタイルは共通であり、楽曲が音楽会社から合法的に提供・販売されているところが、Napsterの問題点に対処した最大の点だ。しかし、Napsterが示したのはインターネット配信の可能性だけではなかった。違法とはいえ、生活者に無料での音楽ファイルの交換を体験させ、それが大きなブームとなったことは、音楽を売るというビジネスモデルに微妙な一石を投じることにもなったのである。
広告収入型モデルの拡大で明らかなように、生活者にとっては内容に大差がなければ有料より無料の方がよい。一方の音楽産業にとっては、それは極めて都合の悪いことである。そうした両者とは異なる立場から、Napsterの騒動やiTunes Storeの成長を複雑な思いで見つめていたのが、ほかならぬ音楽アーティスト達であった。
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