新世紀情報社会の春秋
iPhone 3GはNewtonの夢を再び実現する(1/2 ページ)
プロダクトとしての成功に楽観していないアップル
アップル社のiPhone 3Gが発表された。昨年の発表時には発売までに約半年間のブランクがあったが、今回は7月11日に世界同時発売となる。そして何よりも、ついに日本でも発売されることが正式に発表された。国内で最も大きな関心事となっていたモバイルキャリアについては、予想通りソフトバンクモバイルが最初の発売キャリアということになった。ただし他社についても今後の可能性は否定されていない。
WWDC2008で発表された内容については、既にいろいろな記事や分析がなされているので省略するが、単なるiPhoneの3G対応というだけにとどまらず、非常に多岐にわたってよく練られた戦略に基づいて発表されたことについては、相変わらず実にアップルらしいと感じる。
まず素直に驚いたのはやはり価格である。メモリ容量が大きい16GBモデルで299ドルというのは、現行のiPod touchの8GBモデルと同じ値段というかなり挑戦的な価格である。iPhoneの発売に前後してiPod touchの値下げが行われるもほぼ確実だろう。価格のなかで大きなウェイトを占めるフラッシュメモリの市況動向から考えれば、この値段はもちろんあり得ないものではない。
しかし、大幅な価格の引き下げの背景を考えるに、アップルがこのマシン(おそらくはiPhoneとiPod touchの両方だろうと思うが)について、従来にない大きな勝負に打って出ていることは明らかである。SDKの公開やビジネス用途を意識した技術開発や戦略は、同社がパーソナルやビジネスといった区分を超えた、包括的な意味での携帯端末戦略に本格的に打って出ることを意味している。そして、彼等は決して従来の様に、プロダクトオリエンテッドでの成功を楽観視しているわけではないと筆者は見る。
商品名に新たに冠されることになった"3G"が象徴的なものである一方、ネットワークの選択肢として依然、WiFi(無線LAN)も大きな位置づけになっているところに、これが単なる携帯電話ではないモバイルコンピュータであるという同社の考えが現れている。その意味で、PCやMacとの接続性においてさまざまな連携を可能にしていることは、コンテンツレベルでのシステム連携にとどまる従来の携帯電話ベースでのビジネス用途開発に比較して、決定的なアドバンテージとなるだろう。加えて、Bluetooth2.0を標準で装備していることもインタフェースの拡張性という意味で、意外に大きなポテンシャルと考えられる。
今回iPhone 2.0として提供されるソフトウェア機能の多くが、従来のiPhoneやiPod touchでもアップグレードでも利用できるようになることからも、これまでに出荷された一連の商品が同じファミリーであるという考え方がうかがえる。この新しいファミリーは、かつてApple Newtonが指向した小型コンピュータの夢を、再び現実のものとして世界に現すための挑戦である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
2
初心者向けの料理教室、男性受講生が過半数に 家庭での調理頻度も増加
-
3
ほんのちょっと心の持ちようを変えるだけで、人生も毎日も変わる
-
4
なぜ答えが揺れ、堂々と間違えるのか ―― 確率で動く生成AIの正体
-
5
イオン、フィジカルAIで物流改革 配送拠点の自動化率5割達成 深刻な人手不足に対応
-
6
経営と現場の板挟みになりがちなガバナンス、優先してやるべきことを明確に――リクルート 鴨志田昭輝氏
-
7
「世界のベストバー50 2026」に東京のバー2軒がランクイン
-
8
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
9
チェキの新製品、タッチパネル式大画面を初搭載 富士フイルムが2機種新発売へ
-
10
「仕方ないインシデント」まで全力を尽くせるか - さくらインターネット 江草氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー