間違いだらけのIT経営
経営環境の変化に対応できないトップは埋没する(1/2 ページ)
「間違いだらけのIT経営」バックナンバーはこちらから。
経営環境が激変している。例えば、(1)グローバル化に伴う変化(米国における金融問題、中近東などの石油をはじめとする原材料費の乱高下、新興国の景気減速など、グローバルな問題の影響を大企業のみでなく中小企業も強く受ける)、(2)顧客そのものの変化と、顧客と企業の関係における変化(顧客の低価格かつ良品質志向、顧客嗜好の多様化と商品の短命化、インターネットによる顧客情報の直接入手や直接取引)、(3)技術の変化(設計・生産技術、情報技術面での大きな進歩)などの経営環境の変化に、トップは果敢に対応していかなければならない。
その時こそITは大きな助けとなる。しかし、経営環境の激変にただ恐れて立ちすくんでいたり、ITがどれほど環境変化の対応の助けになるのか分からなかったりするトップはIT導入をためらう。
零細企業でも勝機あり?
グローバル化について、具体的な例を示そう。ある小規模の電子部品メーカーは、最近の原料高にもかかわらず取引先からの値下げ要求や受注減少予告に、どう対応すべきか頭を痛めている。従業員5人ほどの運送業者は、ガソリンの高騰で資金の蓄えが底をついてしまった上に、繁閑の調整弁としてきた日雇い派遣労働者が廃止されるという話に途方に暮れている。中堅の情報通信機器メーカーは製品の30%を輸出しているが、円高で悲鳴を上げている。
かたや、中小、零細といえどもたくましい企業もある。全社員2、3人のあるアパレル問屋は中国から衣料を輸入している。社長は中国への出張をなるべく抑えて、テレビ電話やインターネットで商談を進める。都内にある10人ほどのソフトウェア開発会社は、インド人や中国人を4、5人雇っており、イスラエルの企業にソフト開発の依頼を計画中だ。50人程度の社員を抱える電子部品メーカーは、インドネシアの企業に製品の生産を委託し、技術者が年に数回インドネシアへ技術指導に出掛ける。最近はインドネシアの人件費が高騰してきたので、先を見据えてインドやベトナムへの進出を計画し始めた。現地調査の準備段階として、インターネットでインドやベトナムの情報収集に努めている。
かつては、海外への進出は大企業の関心事だった。しかし近年、小企業、零細企業まで海外へ進出し、人件費や原料費高騰への対応、現地で生の市場情報を収集などの時代になっている。もちろん、これらの企業は為替変動の影響を直接受けるし、取引している国の景気変動の影響も受ける。しかし彼らは、理屈抜きで海外からの影響への対応方法を学習しながら、本能的にすばやく対応する。一方でITの力も賢く活用する。今困っているから、それらの逞しい企業のように今すぐどうすると言っても無理である。日頃からの心構えと周到な準備が必要なことは言うまでもない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
第50回:なぜ「優秀なマネジャー」ほど経営に嫌われるのか
-
2
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
3
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
4
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
5
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
-
6
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
7
スキルの向上だけでは成長は望めない――より重要になる「成長マインドセット」とは
-
8
重要文化財の弁財天像 3Dデータ化で確実に継承へ 「将来に残したい」神奈川・江島神社
-
9
「レッドガス」時代の羅針盤【第三章】従来型グローバルサプライチェーン設計思想からの脱却
-
10
「その100時間は、何も生み出していない」――認知科学者・堀田創氏が斬るリーダーの"見えない疲れ"
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー