小松裕の「スポーツドクター奮闘記」
スポーツは日本を元気にする(2/2 ページ)
スポーツの世界に身をささげる決意
もともと消化器内科の専門だったわたしが、大学を離れ、スポーツ医学の世界に転身してから4年経ちます。1994年に広島で開かれたアジア大会に初めて野球のドクターとして帯同し、その後、アトランタオリンピックで野球、シドニーおよびアテネではソフトボールのチームドクターとして参加しました。スポーツが皆に感動を与えるさまざまな場面を目の当たりにすると同時に、選手や指導者の悔しさも共有しました。消化器内科とスポーツの二足のわらじは無理だ、この素晴らしいスポーツの世界に身をささげたいと決意し、2005年に現在の「国立スポーツ科学センター」に赴任しました。迷いはありませんでした。
その後は、野球、ソフトボールだけでなく、体操、レスリングなどの世界大会や日本選手団本部ドクターとしても帯同し、その数は30回を超えました。現在、1年の約4分の1はトップアスリートとともに海外を飛び回っています。
選手が最高のコンディションでプレイするために
スポーツドクターというと、スポーツによるけがを治療する医師を連想する人が多いようです。「内科のスポーツドクターって一体何をするの」とよく聞かれます。いえいえ、実は内科医がしなければならないことはたくさんあるのです。オリンピックなどの国際競技大会では、環境の変化などもあり、選手たちがコンディションを崩す原因の多くは、内科的なものなのです。そのため、心理的なストレスマネジメントが必要になりますし、アンチ・ドーピングにかかわる役割もあります。
けがや病気になった場合に治療をするのは医者として当然の役割ですが、未然に防ぐように注意を配ったり、選手たちに教育したりすることの方が大切です。帯同するスポーツドクターの役割を一言でいえば「選手たちが最高のコンディションで練習や試合に臨むためのお手伝い」です。そこには、医学以外の要素もたくさんあるわけですから、日ごろから選手や指導者、スタッフなどと信頼関係を築くことがとても重要です。その裏方としての働きが、最終的にスポーツが日本を元気にすることにつながる、と信じています。
一流の選手、一流の指導者たちと一緒にいるだけで勉強になることが山ほどあります。ビジネスの世界で参考になることも多いはずです。当連載では、ちょっとした裏話も交えながら、スポーツの現場やスポーツ医学の話題、そしてスポーツの魅力をこれから皆さんにお伝えしていこうと思います。
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