内山悟志の「IT人材育成物語」
【第18話】根源に立ち返る(1/2 ページ)
内山悟志の「IT人材育成物語」 前回までのあらすじ
4人はこれまで検討してきた施策案について、「事業への貢献度」と「実行の難易度」という2つの軸に含まれる10個の評価項目に対してスコア(大、中、小など)をつけた。これらに重みづけを加味して集計し、評価マトリックスに落としこんだ。
4人の勉強会のメンバーは、評価結果を眺めながら、何か釈然としないものを感じていた。本当に大切なことはここで挙がった施策なのだろうか。
問題の根
評価マトリックスに当てはめて「事業への貢献度」が大きく、「実行の難易度」が低い施策が以下のように絞り込まれた。
(1)社員が場所を意識せず情報を利用できるモバイル環境を整備する。
(2)社内のデータを統合し、ユーザーが簡単に分析できる基盤を構築する。
(3)お客さまとの取引や商談の情報を一元化し、必要に応じて取り出せるようにする。
(4)経営者が欲しい情報をすぐに提供できるよう実績系のデータを集約する。
どれも意思決定の迅速化や、情報および知識の活用に寄与する重要な施策ばかりであることは確かだ。4人ともそのことは納得できたし、何よりも自分たちで検討し選別した施策である。しかし、皆が何か腑に落ちないものを感じている表情をしていた。
「どうした? 何か釈然としてないようだが、検討結果に納得がいかないのかな」。実は川口もこの絞り込みの結果に満足していなかったのだが、それを隠してわざと皆に問い掛けた。
宮下が、躊躇しながら口を開いた。「どれも重要な施策だとは思うのですが、何か違う気がするのです」。
「これまでも、やってきたことばかりのような気もしますし、それで本当に事業に貢献できたのかという点でも疑問が残ります」と、経営企画部の阿部も発言した。
情報システム部を将来背負って立つ奥山も負けずに続けた。「営業向けの情報共有のためのイントラネット、販売情報のデータウェアハウス、データ分析ツールの部課長への配布など、これらの情報システムや基盤の整備は、システム部がいろいろな形で長年手掛けてきたものです。モバイルも一部では導入済みです。しかし、どれも十分に活用されておらず、成果が出ていないために課題となって挙げられたのではないでしょうか」。
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