企業の「実験力」とは何か

反復型BPMが創出する、アジリティと競争力というパワー(1/3 ページ)

変わりゆく市場の潮流とプロセス改善手法

 企業における業務プロセス改善の重要性について、今さら説明する必要はないだろう。コストの面からも、そして市場や顧客のニーズに応えるためにもそれは重要な課題だった。生産現場やそれ以外の事務系の現場などでも、例えば「カイゼン運動」などと称して常に問題点をチェックし、少しでも効果の上がる方法を採用してきた。まさに、これは日本企業の強さの源泉の1つだった、と考えていいだろう。

中林氏

 しかし、時代は変化していく。モノが圧倒的に足りなかった時代。いいモノを作れば売れていた時代。それは過去のものになった。日本アイ・ビー・エム WebSphere事業部 プロダクトマーケティングマネジャー・ビジネスデベロップメントの中林真太郎氏は次のように話す。

 「モノが足りない時代、多くの日本企業はニーズを掘り起こし高い完成度で応える製品を提供していました。実行力が問われる時代だったとも言えるでしょう。しかし、今はサービスもモノもあふれる時代です。顧客や消費者のニーズがはっきりとしない時代です。変化対応力が問われる時代になっています。その中でいかに新しい発想を駆使してモノやサービスを生み出していけるかがカギになっています」

 中林氏は時代の潮流の変化とともに業務プロセス改革の考え方、手法も変化すべきだと感じている。

 「乗用車を持っている人に、環境問題に対する気付きを与えてエコカーに関心を持ってもらう、購入してもらう。自動車で言うと、そういう時代になってきた。消費者に『あ、そうきたか』と驚きを持って受け入れられる要素が必要になってきたわけですね。ニーズが見えにくい、変化の激しい時代に合った業務プロセス改革は、スピード優先でトライ&エラー、試行錯誤を繰り返すものでなければならないと思うのです」

 既存の業務プロセスをニーズに合わせる、と言ってもそのニーズがはっきりとしない。従って「これが市場のニーズなのだろうから、わが社の業務プロセスもこのように変えよう」と試してみる。しかしそれが実は間違っているケースも多い。しかし間違えることによって、本当の市場の姿、顧客の求めることが次第に見えてくる。試行錯誤を繰り返しながら、正解にじりじりと近づいていく手法が求められているのだという。

 中林氏は、そうした手法を継続的に行える力を「実験力」と名付けた。

 「実験ですから、実際に業務プロセスを変えて結果を見るというのではありません。ソフトウェアを使って業務プロセスをシミュレーションして解を求めていく力ですね。それが“実験力”なのだと思います。業務プロセス変革という意味では、BPR(Business Process Reengineering)とBPM(Business Process Management)という2つの考え方がありますが、わたしは組織を横断的に見て、抜本的な業務改革を目指すBPRよりも、ビジネスプロセスに「分析」「設計」「実行」「モニタリング」「改善・再構築」というマネジメントサイクルを適応して改革していく、BPMの考え方がこの“実験力”を引き出すものだと思います」

 BPRではなくBPM。どうやらそこに“実験力”とそれを兼ね備えた企業の強みの秘密があるようだ。

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