生き残れない経営

チリ鉱山落盤事故とドラッカーと働きがい(3/3 ページ)

 営業を例に挙げると「職務」とは一般的にある製品を、ある客層に、いくらで、どれほど売るか、にすぎない。「役割」とは、各人の強みや得意技術を生かすことを念頭に、具体例で言えば短期には当面の問題解決(納期遅れ・クレーム対応など)、中期には納期や在庫のトラブル解消システムの構築、長期には新規顧客開拓や顧客要望の新製品への反映などのイノベーション、となる。

 経営者・管理者は、そういう「役割」を部下に与え、または自ら設定させ、しかもその役割遂行のための支援を積極的に行い、結果を正当評価して「やる気」を引き出さなければならない。それが自然に流れる仕組みを作る必要がある。

 仕組みは、大前提として各人を生きた存在としてとらえ、1.まず主観的・客観的に激変する状況下で、適宜各人の強みを生かした役割を明確にして与え、あるいは自ら設定させる、2.役割遂行のための支援(人、資金、相談など)を強力に行う体制を作る(例えば、役割遂行上で人材に欠けた場合、人事部門は放置や我慢をさせるのでなく、すぐ補填する)、3.役割遂行結果に対する、公正な評価方法の制度確立、4.その結果が、「企業にとって生産的か」「企業人として充実した人生につながるか」をフォローアップする体制を作る。

 これについての、守島基博一橋大学大学院教授の適切な提言がある。「仕事を通じて働きがいを提供する新たな仕組みを構築する必要」がある。それは「エンパワーメント」だ。

 「自律的に目標が達成できるようになるための支援」だ。「そのためには、権限を与えたり、自由度を高めたりするだけではだめだ。ただ権限を与えても、課題を実行するための資源や能力が備わっていないと、結局は失敗に終わる」(『プレジデント』2010.5.3.)。

著者プロフィール

増岡直二郎(ますおか なおじろう)

日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。

印刷する
SNSでシェア

この記事の著者

関連記事

ITmedia エグゼクテブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら

ぜひこの機会にお申し込みください。

入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。

入会条件:
上場企業および上場相当企業の課長職以上

※入会は無料です

エグゼクティブコンテンツ

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia エグゼクティブ SNS

X @itm_executiveをフォロー

インフォメーション

注目情報をチェック

ITmediaエグゼクティブをフォロー