ビジネスイノベーターの群像
社会を見すえ、自分たちのミッションを考える――出版関連業界の再編を目指す 大日本印刷森野鉄治常務(1/3 ページ)
変革期ゆえにチャンスあり
大日本印刷といえば、業界最大手であり、早くから液晶関連や電子デバイスなどエレクトロニクス部門にも力を入れその技術力にも定評のある印刷会社として知名度はあったものの、どちらかといえば縁の下の力持ちではないが、地味な存在の企業だった。そうした企業イメージを一変させたのは2008年以降、矢継ぎ早に展開されたM&Aや業務提携である。
現在、大日本印刷の傘下には、老舗書店の丸善、大型書店チェーンのジュンク堂、文教堂、図書館向けに書籍販売や運営業務受託を行う図書館流通センター、出版社の主婦の友社などが名を連ねる。新聞や雑誌の紙面には、出版業界の覇権を目指す巨大グループの誕生かというセンセーショナルな報道が飛び交ったが、騒ぎが一段落したいま、森野氏は「デジタル化という避けられない潮流にどう対応すればいいのかという問題意識が、一連のM&Aの背景にあった」と振り返る。
森野氏によれば、「出版業界はいま、変革期の真っただ中」にあるという。ひとつは業界構造の変革、もうひとつはデジタル化への変革という意味においてだ。もちろん、このふたつは連動しつつ、出版業界を揺り動かしている。
1990年代後半以降、書籍、雑誌の市場規模が縮小し続けており、4割前後の返本率など構造的な問題を抱えている。小売りの書店も減り続け、雑誌の廃刊も相次」ぐ。出版社、印刷会社、流通を担う取次、小売り書店が、従来型ビジネスモデルのままでは立ち行かなくなっているというのが森野氏の現状認識だ。
さらにインターネットによる書籍販売が拡大し、スマートフォンを含め電子書籍を読むのに適した端末が増え、本のコンテンツそのものをデジタル化して、流通させるという流れも加速している。
「デジタル化によって、出版業界は印刷、製本、流通、販売など個々の業種の壁が低くなり、シームレスな構造へと移行しつつある。わたしたちに求められているのは、変化する環境の中で、ムダが少ない効率の良いものにビジネスモデルを変えていくこと」と森野氏。変革期のいま、そこには大きなチャンスがあると考えている。
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