気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀
「塚田農場」はなぜ生産性が高いのか──社員が意気に感じ楽しんで仕事をすること(1/3 ページ)
自社農場を保有し、高品質な地鶏を低価格で提供する居酒屋チェーン「塚田農場」を展開するエー・ピーカンパニー。生産機能を備えた新しい業態によって、地域活性化に貢献し、多くの人々の支持を集めている。「はじめから社会貢献を事業にしようと考えていたわけではなかった」という代表取締役社長の米山久氏。エー・ピーカンパニーを起業し、新しい景色を切り開き続けてきた組織の推進力の源はどこにあるのだろうか。
高品質の地鶏を低価格で提供するという新しい挑戦
中土井:エー・ピーカンパニーといえば、居酒屋の「塚田農場」が有名ですよね。これまでにない新しい業態の居酒屋チェーンだそうですが、具体的にどのような取り組みをしているのですか。
米山:私はよく「六次産業化」と言っているのですが、塚田農場は、生産機能、メーカー機能を兼ね備えている独自の飲食業の業態をとっています。通常の飲食店では、問屋で仕入れたものを加工して売るだけです。私たちは自社農場を持つことで、他店との差別化を図りました。お皿に乗るまでのストーリーをみんなで共有し、商品のよさを徹底的に分かった上で提供しています。これまでの飲食店でスタッフが言えることは「うちの店の料理長の自慢の作品です」ということぐらいだったと思います。一方、うちのスタッフは生産者・生産現場も知っていて、商品一つひとつのこだわりに誇りを持っている。それでより踏み込んだ接客ができるようになりました。これが塚田農場の差別化になっています。
中土井:どのような思いで今の事業を始めたのでしょうか?
米山:飲食業をしようと決めたとき、地鶏のことが頭に浮かびました。鶏の中でも最高級の地鶏は、確かにおいしいのですが、当時、食べられるお店は限られていて、銀座や六本木の高級店でしか食べられませんでした。地鶏をもっとたくさんの人に食べてもらえるようにしたい。そのためにはどうしたらいいかを考えた結果、生産者と飲食店を直接結びつける、自社農場を持つという今の業態にいたりました。
高品質高価格、低品質低価格は当たり前。これまでにない高品質低価格を実現したいと考えました。私は何をするにしても、オリジナリティのある新しい提案をしたいという思いがあります。いかに人と違うことをするか、今まで誰もやっていないことを見つけたときにいつもワクワクします。
利益を上げることにフォーカスしていた時代もあった
中土井:飲食業の前には何か他の事業に携わっていたのですか?
米山:以前は、不動産業や携帯電話の代理店などをしていました。社会的に意義のあることや本当に実現したい理想を追求するというよりも、生産性を高め、キャッシュを得るという意味での成功を求めていたように思います。
携帯電話の代理店業をしていたときは、二次代理店から仕入れたものを営業によって売り、利益を得るというビジネスでした。当時は、生産性を高めて利益を上げることにフォーカスし、収入の面で自分の見たことのない景色を見てみたいというモチベーションで動いていたように思います。事業や組織としての満足度は全くありませんでした。
そうやって事業を回し、人を雇って組織をつくっていく中で、金儲けをするだけが会社の役割ではないと感じるようになりました。金儲けを目的にしている人材は、他にもっと稼げるところがあればそちらへ行ってしまいます。これでは、組織の継続性は望めません。人材が流出するにも関わらず、営業をし続けなければ事業が回らないので、とても不安定な組織でもありました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
グーグル、AI生成コンテンツの「透かし」検出ツールを一般公開 画像、動画などで識別
-
2
ジャズマンや文化人に愛された「新宿DUG」が閉店、マスターに聞くこれから
-
3
東京のレストラン7軒がメキシコ政府から「本格的なメキシコ料理」として認定
-
4
「薬機法申請の添削AI」を現場が作った――ライオンが100人のAI開発者を育てて見えた「民主化」の分岐点
-
5
「進まざる者は必ず退く」、現状維持は大きなリスク - みずほFG CISO 寺井氏
-
6
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
7
BizOpsとは何か? 構想と現場をつなぐ、事業成長の“実行装置”
-
8
50代で退職したらどうなる? 辞めてはいけない4タイプ
-
9
第1回:到来した「自律型AI時代」
-
10
中国人も台湾人も夜遅くまで働いている 日本人だけが「働き方改革」でいいのか
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー