近未来はロボット資本主義が席巻?? 現場力による「和ノベーション」が日本企業に競争優位を(1/2 ページ)
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「少子高齢で労働人口の減少が進む中、日本企業が誇る匠の技もその伝承が課題となっている。一部の企業ではAI導入を検討しているが、コピー&ペーストできるのは匠“風”にすぎない。技のさらなる進化も望めない。変化を五感で捉え、手触りにこだわるところは、安易にAIを導入してはいけない。やはり人を育てながら企業の強みに一層磨きを掛けるべきだ」
こう話すのは、ローランド・ベルガー日本法人の長島聡社長だ。その本社は、メルケル首相のリーダーシップの下、IoTによって製造業の変革が進むドイツにある。しばしば、その欧州製造業復権の取り組みは「インダストリー4.0」と呼ばれるが、それも彼らが取りまとめた報告書がきっかけだったという。IoTを核とし、工場を中心に原材料の調達から設計、生産、物流、サービスまで企業の枠を超えてサプライチェーンを切れ目なくつなぐことで、自動化と生産性の最大化、製品やサービスの付加価値向上を狙う取り組みだ。
「インダストリー4.0では、天才依存型で効率化が進む。一部のエリートが企画や戦略を練り、ブルーカラーは指示されたことだけを忠実にこなす世界だ。しかし、日本企業では大部屋で顔を合わせて知恵を出し合い、現場も仲間や顧客のためにより良い製品やサービスを作り上げようという文化がある。また、匠の技が良い例だが、個人がこだわりをもって突き詰めていく文化もある」と長島氏。
このままロボットやAIの導入が進めば、それらを持つ者と持たざる者の格差が広がる「ロボット資本主義」が社会を席巻するという悲観的な近未来予測もあるが、長島氏は人を中心とした、もっと明るい未来を思い描く。
長島氏は、「日本企業は、IoTで先を読み、AIのようなデジタルテクノロジーによって個々人の潜在能力を最大限に引き出し、さらに促進される対話によって大幅に生産性が高められる世界を目指すべきだ」とし、日本型のイノベーションである「和ノベーション」を提唱する。
まずは「ありもの」の見える化から
しかし、これまで繰り返し指摘されてきた通り、日本企業の時間当たりの生産性がほかの先進国に比べて低いのも事実だ。大企業の縦割り組織では会議や調整に手間取り、また、既に社内や世の中にある「ありもの」も知らず、1から開発するなど自前主義の弊害も大きい。市場の急速な変化に伴って製品のライフサイクルが短期化する中、目先のことしか見えなくなり、日本企業が培ってきた、本来の強みも失われつつある。
長島氏が提唱する和ノベーションは、社内の「ありもの」を見える化することから始まる。
「まずは、ありもの、すなわち、自社の製品やサービス、個々人が持つ技術や能力、蓄積されたノウハウなどを棚卸しし、使う人が分かりやすいように見える化し、モジュール化しておく」(長島氏)
そうすることで、いろいろと戦える武器があることが分かるし、自社が顧客にとってどんな存在でありたいのか、つまり、顧客にとっての価値を再定義し、あるべき姿を目指して打って出たときにも、それを実現する製品やサービスを社内外のモジュールを組み合わせて迅速に投入できるようになるという。
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