ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
サイバーエージェントではなぜ、突き抜けたリーダーが育つのか~経営人材と新規事業が続々生み出されるには、理由があった(2/2 ページ)
それは、「経営人材」「起業人材」が育てられてきたからこそ、に他ならないのではないか。そして実際に、若手の優秀な人材がどんどん抜てきされているのである。
もちろん何もしないでサイバーエージェントで勝手に人材が続々と育っているわけではない。人材育成、起業家育成、新規事業創出のための、たくさんの仕組みがサイバーエージェントにはあるのだ。その充実ぶりは、実際に取材をしてみると、想像をはるかに超えていた。
例えば、115社もの子会社や新規事業がランク付けされ、撤退ルールも定めながらマネジメントされる「CAJJプログラム」「スタートアップJJJ」などのシステム。
「CAJJ」とは「サイバーエージェント(CA)の事業(J)と人材(J)を育成する」の略。分かりやすくいえば、Jリーグのようにリーグのステージを上がっていく仕組みだ。だが、上がるだけではなく撤退もある。
2003年にスタートしたが、その後グループ規模の拡大に伴い、昇格・撤退基準の見直しが行われた。今では黒字化し、収益化した事業と子会社がCAJJというマネジメントシステムに組み入れられている。
20数社で、営業利益が四半期あたり10億円以上を「J1」、1億から10億円を「J2」、1億円までを「J3」。月に1度、集まって事業報告が行われるのだが、座席はそのランク順だ。前月5番目に座っていた会社が、10番目に座ることになるかもしれない。ハングリー精神を刺激されるのだ。
しかも毎月の事業報告で、伸ばしている会社、成果を出している会社がどんなことをしているのかを共有できる。
そして「資金ショート」「1年半連続赤字」「3四半期連続粗利減少」のいずれかで撤退もしくは事業責任者を交代しなければいけない。
「CAJJ」入りを虎視眈々と狙う、もう1つのプログラムが「スタートアップJJJ(新規事業<Jigyo>、人材<Jinzai>、時価総額<Jika sougaku>)」だ。こちらは、小さなスタートアップの事業群である。時価総額でランキングがつけられているが、藤田晋社長とサイバーエージェントの投資責任者がその算定をしている。
「上場前夜」「シリーズB」「シリーズA」「アーリー」「シード」「リリース前」に分かれているが、スタートアップだけに撤退ルールも厳しい。いつまでもやらせてはもらえないのである。そして時価総額が50億円を超えると、CAJJに昇格する。
CAJJもスタートアップJJJも、経営者の力量を問われるシビアな仕組みだ。競争しあって切磋琢磨し、みんなで成長していく。こんな仕組みがあるのである。
他にも、1000件を超える応募が出ることもある新規事業プランコンテスト「スタートアップチャレンジ」。役員とその直接の部下ではない社員で5人のチームになり、総勢50人ほどで会社の課題に向き合う合宿「あした会議」。
社員のコンディションを把握するだけでなく、社内でポテンシャルのある人材、新事業を担うにふさわしい能力や興味のある人材を発掘する「キャリアエージェントチーム」。
日常的に部下に「何がしたいのか」を問い、大胆な抜てきにつなげていく組織カルチャー。縦の組織ではなく、年齢や性別、職種、趣味など横軸でつながれる仕組み。上がりポストを作らず、意思表明した人材を若くして登用していく……。
サイバーエージェントには、「経営人材」「起業人材」が育てられる、さまざまな仕組みがあったのだ。
著書『サイバーエージェント 突き抜けたリーダーが育つ仕組み』では、人事担当役員から若手役員、9人の子会社社長、採用担当責任者、新規事業創出担当者、活性化担当者など、総勢15人に詳しく話を聞いている。
実際に抜てきされた若手たちはどんな人物なのか。それも詳しく紹介している。実は彼らが決して特別なルートで採用されていたり、特別なキャリアの始め方をしたりしてきたわけではない、ということも分かる。
これから求められる人材をいかに採用し、育てていくか。これからの時代に求められるような人材に、いかになっていくか。企業の活性化のために、自らをさらに成長させたいと考える人に、サイバーエージェントの取り組みはきっと大きな示唆を与えてくれるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
2
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
3
高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
-
4
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
5
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
6
森ビルが挑む、DXを通じた「ヒルズライフ」の充実とコア領域の内製化
-
7
「セキュリティは事業を活かす出汁、責任者はCIMOで目指せ」 - JTB 椎野氏
-
8
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
9
本田技研工業のDXはボトムアップとトップダウンで“Hondaらしく推進”
-
10
味の素社が挑む“dX”とAI駆動開発――“企画・開発・営業ができる人財”が新規事業を加速する
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー