ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
できるリーダーはやっている! 部下のやる気を高める「対話」とは?(2/2 ページ)
このように、すぐにアドバイスをするのではなく、部下が「どう考えている(心)のか」を“教えてもらう”スタイルこそが、対話です。今こそ、このコミュニケーションができてこそ、オンラインであろうが、短時間であろうが、部下の本心を知ることができ、また「自分で考える主体性」を宿らせることができるわけです。
「納得」は、命じることではなく、聞くことで生まれる
部下と面談をしていて、こんなことはないでしょうか。
「つい、気が付けば、自分が話してしまう……」「次の質問が思い浮かばず、会話が続かない……」。
でも、そうだとしたら、今こそ“克服しておきたい弱点”と認識しておきましょう。
マネジメントの大家、ドラッカーはこういっています。
過去のリーダーの仕事は「命じること」だが、未来のリーダーの仕事は「聞くこと」が重要になる。
コミュニケーションで最も大切なことは、“相手の言わない本音”の部分を聞くことである。
解説しましょう。
言われたことしかしない「消極的な部下」がいたとします。「主体的になってほしい」と命じたところで、そう簡単に主体的になるはずはありません。そこで、「聞くこと」が必要となるわけです。会話のシーンはこんな感じ。
上司 「〇〇さんには、新人の面倒を見てほしい。どうかな?」
部下 「あ、はい……分かりました」
上司 「ありがとう。もし、あれば教えてほしいんだけど、面倒を見るにあたって、気になることはある?」
部下 「……えっと……いえ、特に大丈夫です……」
※まだ、聞きます。
上司 「安心した。新人と距離が近い〇〇さんだからこそ、教えてもらっていい? 面倒を見るにあたって、うまく行かなくなる要素があれば確認しておきたいのだけど、どんなことが想定されそう?」
部下 「そうですね……。私自身が忙しく、時間をとってあげられるかが不安です」
上司 「そうか……。どうしてなの?」
部下 「仕事が増えて、自分のことでも手が一杯になっているんです」
※まだ、聞きます。
上司 「そうか……。手がいっぱいなんだ……。ところで、その忙しさを解消できれば、面倒を見ることへの不安はなくなる?」
部下 「なんとも言えないです」
上司 「そうなんだ。それは、どうして?」
部下 「……」
上司 「………………(沈黙)…………………」
部下 「教える自信がないのです……」
あぶないところでした。「面倒を見てほしい」と指示しただけでは、うまく行かないリスクもあったでしょうし、部下のメンタルダウンのリスク、さらには離職のリスクにもなってしまうことが、容易に想像できます。何より、部下は全く納得していませんでした。
状況によっては、聞きだすのに30分ほどかかることもあります。しかし、この会話から、聞くことの重要性を確認できたわけです。もちろん、毎回、このような会話をすると面倒くさい上司になってしまいますので、「部下は不安を感じていないかな?」「任せた仕事を本当に完遂できるかな?」と上司として少し不安を感じた際に、「じっくり聞く」対話をしてみることをお勧めします。
まとめ
今回は、拙著『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』で記しているメソッドの一部を紹介しました。部下の仕事内容はもちろんライフスタイルも多様化しています。そして、それに伴い部下が抱える問題や悩みも多様化しています。だからこそ、この「聞く力」はますます不可欠となってきているのです。今回の内容が役に立てば幸いです。
著者プロフィール:伊庭正康(いば まさやす)
らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。
2011年、研修会社らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は『日本経済新聞』『日経ビジネス』『The21』など多数のメディアで紹介されている。Webラーニング「Udemy」でも営業スキル、リーダーシップなどの講座を提供し、ベストセラーコンテンツとなっている。
『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(以上、日本実業出版社)、『できるリーダーは、「これ」しかやらない』『できる営業は、「これ」しかやらない』(以上、PHP研究所)、『仕事が速い人の手帳・メモのキホン』(すばる舎)など、著書多数。
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