ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
40代 「進化するチーム」のリーダーは部下をどう成長させているか(1/2 ページ)
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
1対多から、1対1の関係に。勤務時間の長さで評価できない時代に
強いチームは、チームが自ら進化するチームです。
リーダーの役割は、チームを強くすることではありません。自ら、進化するチームを作るのが、リーダーの役割です。
新しい時代になって居心地が悪いのは、顔を合わせる機会が少なくなったことです。
つながりの希薄感が生まれたのです。これはリーダー側にも、現場のスタッフや部下の側にもあります。
より不安を大きく感じているのは、今まで顔を合わせて部下を見張っていたリーダーの側です。上司は、「リモートワークで部下は本当にきちんと仕事をしているのか」と心配します。
今まで部下が遅くまで会社に張りついていたのは、「上司がいるところにいないと、自分が仕事をしていないと思われるんじゃないか」という不信感があるからです。
両者の不信感がベースにあるのです。
結局、働き方改革とは時間の捉え方の改革です。労働時間でその人の働きを評価する時代が、終わりました。今まではアルバイトから正社員になり、時給から給料になっても、「何時間で」という時給と同じ感覚で仕事をしていました。
本来、付加価値を生み出す仕事に関しては、「何時間働いたから」というのは関係ありません。
アーティストの芸術作品で、「この作品に何時間かけたんです。だから評価してください」と言うのはおかしいです。お医者さんが手術をする時に、「この手術は何時間かけたからいくらです」と言い方はヘンです。
むしろ時間がかかるのはマイナスです。
荷物を運ぶ時は、時間を短くすると値段が高くなります。電車で言うと、特急料金がかかるのは速いからです。「長くかかった分、料金を多くいただきます」というのは逆の考え方です。
時間に対しての捉え方が変わったのが、働き方改革なのです。今まで時間しか軸がなかったのは、会社にいる人たちが全て同質な存在だったからです。同質の人がいる場合においては、みんなが同質の働き方をしています。その人たちを評価する時は、長い時間働くと「あの人は頑張っているね」となります。
付加価値を生み出す異質の人たちが集まってチームになると、同じ時間で評価することはできなくなります。「何時間残業したから」という評価がなくなってしまったことが、今、働く現場での居心地の悪さになっています。
結局、リーダーと部下の関係が、1対多から1対1に変わったのです。それによって、一人一人の部下に対して、評価する基準や育成する基準、接し方も変わります。リーダーは一人一人の部下に対して接し方を変える必要があります。新しい時代は、1対多の部下との接し方では通用しません。
会社に来たい人もいれば、会社に来たくないという人もいます。リーダーは、それぞれの部下に対して違う接し方をすればいいのです。
変えていいのは、手段。変えてはいけないのは、目的。
時代が変わる時に、リーダーが変えていいのは手段です。変えてはいけないのは、目的です。これを逆にしないことです。
例えば、「こういうことをわれわれはチームの中でしていこう」という会社の目的があります。そこで、「密になってはいけないから、コミュニケーションをとるのもリモートでしましょう」と言うのは、手段を変えているだけです。
「何もできなくなった」ということはありません。今までの手段がとれなくなったのが、今の時代です。特に変革が起きた時は、「AがダメならB」「BがダメならC」という形で手段を変えます。
間違ったやり方は、1つの手段がとれなくなった時に目的を変えることです。1つの手段にこだわり、「その手段でできる目的は何か」と、目的を変えていこうとすると、軸がブレブレになります。
軸は、手段ではなく目的にあります。
リーダーは「手段のプロフェッショナル」であることが求められます。プランAがダメならプランB、プランC……と、どんどん切りかえていけるのがプロフェッショナルです。
例えば、映画の話をしたい時に、
「○○という映画を見た?」
「それ見てないんですよ」
「この話をしたいんだけど、見に行ってもらわないと困る」と言ってしまうのは、映画のプロではありません。
「じゃ、どんな映画を見た?」
「○○という映画です」
「じゃあ、その映画の話をしよう」と対応できるのが、映画のプロです。
「どこのホテルに行けばいいですか」と相談された時に、「○○のホテルがいいよ」とすぐ答えるのは、ホテルのプロではありません。自分の好きなことを言っているだけだからです。
「どういう目的で行くんですか」と聞くと、
「サービスの勉強に行きたい」
「リラックスしたい」
「発想を手に入れたい」と、これだけで3つに分かれます。
それぞれの目的に合わせて、
「サービスの勉強をしたいなら○○のホテルがいいですよ」
「リラックスしたいなら、△△のホテルがいいですよ」
「発想を身につけたいなら、××のホテルがいいですよ」と、手段を変えていけるのが本当のプロフェッショナルです。
大体しくじるのは、自分の中で手段と目的の区別がつかなくなる人です。往々にして起こりがちなのは、いつの間にか手段を目的と勘違いすることです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「CISOは1人の経営者たれ」――ログの先の人を思う、LayerX CISO 星氏
-
2
「人間洗濯機」が高齢者施設に 福祉の現場に万博技術導入 人手不足解消や産業成長に期待
-
3
高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
-
4
なぜコーポレートITはコスト削減率が低いのか――既存産業を再定義することでDXを推進
-
5
ITmedia エグゼクティブ勉強会スケジュール
-
6
森ビルが挑む、DXを通じた「ヒルズライフ」の充実とコア領域の内製化
-
7
どの区立中からも通えるオンライン将棋部発足 休日はリアル、プロ級も指導 東京都大田区
-
8
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
-
9
本田技研工業のDXはボトムアップとトップダウンで“Hondaらしく推進”
-
10
公共交通インフラの使命を軸に、事業継続への攻めと守りを大胆に実行する - JAL 鈴木氏
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー