夏バテ防ぐ猛暑の食事 水分補給だけでは不十分、鍵は「必要な栄養素をバランスよく」

 猛暑で食欲がわかない-。夏バテや熱中症などの不調が心配になるこの季節、健康維持に重要なのは「必要な栄養素をバランスよく補うこと」だ。当たり前ではあるものの、ちょっとしたコツがあるという。熱中症対策などに詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師に話を聞いた。

こうして暑さバテする

 「夏バテ」は暑さによる疲労や体調不良が続き、自力で回復しにくくなった状態を指す。

 体調の鍵を握るのが自律神経の働きだ。暑いときは発汗を促したり血流を調整したりして熱を逃し、体温を一定に保つ。しかし、猛暑が続くとその調節が追い付かなくなる。

 自律神経の働きは睡眠にも影響する。ぐっすり眠るためには深部体温を下げる必要があるが、働きが落ちると高いままで下がらず、睡眠障害を招く。

 夏バテになると、とたんに食事が取れなくなることがある。すると体の回復力がますます落ちる悪循環に陥ってしまう。谷口さんも「もっとも注意を払ってほしいのは食欲の低下だ」と話す。

 実は食事は栄養だけでなく水分も含んでおり、3食で1リットル近くを補給できるという。食事から取った水分は胃や小腸で時間をかけて吸収され、点滴のように体に取り込まれる。

 また水分は一度に大量に取ると満腹になり食事量が減る。冷たい飲み物を過剰に取れば、胃腸の消化吸収力が落ちてしまう。飲み物は一気に飲まずこまめに補給することが大切だ。

具材追加でバランスよく

 献立の工夫もすすめる。そうめんなど、のど越しの良い炭水化物だけで済ませてしまうと栄養が不足しやすい。谷口さんは「ビタミンB群、ビタミンC、タンパク質を意識して取ってほしい」と話す。

 とりわけビタミンB1は食事をエネルギーに変えるのに不可欠で、ビタミンCは紫外線から肌を守り、体にダメージを与える活性酸素を分解する。タンパク質は肌や筋肉を修復するだけでなく、血流を増やして熱を逃す。

 例えば、そうめんに豚肉を加えればタンパク質とビタミンB1、のりやキノコ類にはビタミンB1が含まれる。レモンやカボスなどかんきつ類を添えればビタミンCを補える。みそ汁も万能で、具だくさんにするとよい。水と塩分が豊富な上、ビタミンを含むナスやオクラなどの夏野菜や、肝臓の働きを助けるタウリンが豊富なシジミやアサリなどを加えれば、一品で夏に不足しがちな栄養をまんべんなく補うことができる。

 栄養の手軽な補給に便利なサプリメントだが、自己判断で大量に摂取すると、肝機能障害などを起こすリスクもある。あくまで不足した栄養素を補うものであり、食事の代わりにはならない。谷口さんは「特別な飲み物やサプリメントに頼る前にまずは毎日の食事でバランスよく栄養と水分を取ること。順番を間違えないでほしい」と呼びかける。

熱中症対策などに詳しい済生会横浜市東部病院の谷口英喜医師

汗大量、経口補水液を活用して

 最近、ドラッグストアなどでよく見るのが「経口補水液」だ。水分補給の効果と速度が点滴に近く、脱水時に飲むと即効性があるが、日常的な飲みものではない。ただ、これほどの暑さで脱水が命に関わる中、「暑さでふらついたり、だるさを感じたり、大量に汗をかいたりして熱中症が疑われる場合は、ためらわずに1リットル程度を飲んでほしい」と谷口さんは促す。

見た目や成分の似たスポーツドリンクは、その名の通り運動後に適しており、水代わりに飲み続けると糖分や塩分の過剰摂取につながる恐れがある。

 冷たいシャーベット状の「アイススラリー」は「深部体温を下げる」ために使う飲料だ。外出前に体を冷やす「プレクーリング」の習慣づけに役立つ。ただし熱中症対策のためのもので糖分と塩分を含むため、1日2個程度までが適量だという。(村田幸子)

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