エグゼクティブたちの信頼をすばやく勝ち取り、会社の技術投資を無駄にしないCIOは在職期間も長くなる。
戦略と所得。今回の米国CIO Decisionsの調査結果から、その2つに密接な関係があることが見えてきた。勤務する会社の規模が大きいほど、戦略立案に携わる時間が長く、所得も多い。とはいえ、小さな企業でも高給を得るチャンスはいくらでもある。転職の機会も多く、ITエグゼクティブの平均在任期間は4年だ。
この調査では、ITエグゼクティブ、アナリスト、採用担当者とのインタビューや各種のデータから、肩書き、企業規模別の給与など、さまざまなトレンドを探った。キャリアパス、サラリー、トップエグゼクティブとの関係など、世間一般のベンチマークと自分のポジションを比較評価することができるだろう。
メタ・グループ(現ガートナー)が2000年に発表したレポートでは、CIOの在職期間は平均18カ月を超え、確実に長期化の傾向を示していた。ところが今回、われわれの調査では若干異なるトレンドが見えた。
CIOの流動性が高まりつつあるようで、在職期間が5年以下と回答したCIOは全体の66%に上り、昨年の50%から大幅に増えたのだ。こうした変化は、CIO以外の肩書きのITエグゼクティブにおいても顕著で、同じように数字となって表れている。
例えば、IT担当副社長の70%は在職5年以下と回答したが、この数字も昨年の34%から倍増した(図参照)。
中堅企業のCIOの場合、在任期間のメディアン(中央値)は4年だ。全体の半数が4年以上、他の半数が4年以下である(図参照)。
フォレスター・リサーチの調査では、CIOの41%は在任期間が1年から3年以下だったが、われわれの調査でも46%は在任期間が1〜3年だった。
「離職に至る原因は、CIOとCEOの間で期待するものが食い違うことだ」と語るのは、フォレスターのアナリスト、ローリー・オーロブ氏だ。CEOにレポートするCIOが増えたことも、その背景にある。今回の調査では48%のCIOがCEOに直接レポートしている。
一方、中堅企業のCIOは、Cスイート(最高責任者クラス)における認知度や、中堅企業そのもののダイナミックな特性によって、大企業のCIOよりも社内的な存在感が大きい。そのため現在の会社にとどまって、この先も一緒に成長していきたいと望む傾向が強くみられる。実際、今回の調査でも回答したCIOの70%は、次の5年も現職にとどまりたいと希望している。
CIOのジム・トーム氏は16年前、セントルイスのグラフィックデザイン・マテリアル販売会社、ショーネシー・ニープ・ハウに入社後すぐにビジネス的な才能を発揮し、「(経営陣に)テクノロジーが事業拡大に寄与する可能性を示した」(同氏)。
トーム氏は、プロプライエタリなハードウェアやソフトウェアと固定インデックスファイルシステムで実行されていたERPシステムを、安価なRISCサーバ上で稼働するインフォ・グローバル・ソリューションの統合リレーショナルデータベース・パッケージにリプレースした。新しいERPシステムにより、顧客はショーネシーのWebサイトに安全に接続できるようになり、それまでほとんどないに等しかった顧客サポートが大きく改善された。会社の営業拠点の増加にあわせて、トーム氏はSBC/AT&Tと提携し、ダイヤルアップ回線をフレームリレーに切り替え、最終的にMPLS(Multiprotocol Label Switching)回線へ移行した。また拠点網の急速な拡大に対応するため、PPTP IPsec暗号DSLトンネルを実装。「それらは会社の成長をサポートする重要な決定だった」
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授