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» 2019年09月02日 10時00分 公開

AI活用の「あるある」を楽しく議論 FUJITSU AI Communityでモヤモヤを解消 (3/3)

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 この話題に対しては、「社内のキーマンをしっかりと押さえて、期待成果を明確にした上で予算を確保する。小さく始めて短期間で効果を出せるものから始めるのも効果的」(京王電鉄の虻川氏)、カシオ計算機の矢澤氏が語ったような「オープンソースなどを利用した社内開発によるコスト抑制が有効ではないか」との議論が交わされた。

現場の理解と協力なくしてAI活用は進まない

 AI活用を進める企業ならではの悩みとして、「部門や社員の理解が得られず本音を語ってもらえないために真のニーズが見えてこない」といった声が上がり、導入検討中や情報収集中の参加者の興味を引いた。「現場のヒアリングで答えがなかなか返ってこない」「課題や要望などを聞き出すのが難しい」「AI推進側と現場で温度差があり協力を得にくい」など、同じような課題を抱える企業は多いようだ。

 また、「AI活用では社内の幅広い部門の協力を得る必要がある。情報部門として従来は関わりがなかった部署と、どうコミュニケーションを築いていくべきか」といった危機感を募らせる参加者もいた。

 この議論に加わっていた、京王電鉄の虻川氏は「用意もなくただヒアリングに行くのではなく、同業の取り組みを調べたり、現場を見たりして、課題のあたりをつけるなど事前準備をした上で取り組む方が良い。業務部門は忙しい中時間をさいているので、手ぶらで話を聞かせてくれでは本気で語ってくれる人は少ない。この人達に真剣に話をすれば応えてくれるという期待感を持たせないと本音は引き出しにくい」と意見を述べ、「インフォーマルなアプローチで現場担当者の気持ちをほぐすといった努力も必要」とした。それでも協力が得にくいケースでは、「コストや時間、重要度などの観点から優先度を測り、その件は後回しにすることも選択肢の一つだろう」とアドバイスした。

 参加者の中には、現場からの協力を得るために「部署がまたがる場合、導入のたたき台や提案書を作ってから話を持ち込むようにしている」「AIについて現場の教育に取り組んでいる」など、実際に自分たちが行っている対策が紹介された。

AI技術は進化中、今できることに取り組んでおくべきだ

 AIへの期待が高い一方で、その限界について語る参加者もいた。ある製造業担当者は、熟練技術や匠の技をAIによるデジタル化で若手に伝承すべく5年間前から試行錯誤してきたとのこと。だが、「結論として現在のAIでは難しいと判断した」と語った。

 これに対して、京王電鉄の虻川氏は「現在の技術では匠の技術の伝承は難しい部分もある」と同意しながらも、「それだけでは思考停止に陥ってしまうので、この先にAIやセンサー技術が追い付いてくることを想定して、映像や音声、ヒアリングなど継承したいデータを残しておくことも考えるべき」と指摘した。

 別の製造業からは、「研磨作業は高度な技術が要求され、AIを活用して経験の浅い社員が短期間で技術を習得できるように取り組んでいるが、五感や直感、周辺温度など多要素が絡むため進んでいない」とのこと。カシオ計算機の矢澤氏からは、「時計にも研磨工程があり難しさはよく分かる。とはいえ、工程ごとに難易度も異なるので、簡単レベルからAIを試してみては」との助言があった。

 「送迎バスのルート選択を最適化するシステム開発に取り組んでいるが、今のAIでは人間の感情(不確定な変数)を含めた判断は難しいのではないか。さまざまなケースを想定した複数の判断から、より現実的な解を導き出せるようなことをやっているが、なかなかハードルを越えられない」といった意見や、「工作機械需要の長期予測に際しては不確定要素、例えば米国大統領の発言などに左右される。AIで、心理的要因の予測のようなことは可能なのか」などの疑問も投げかけられた。

 また、AIの判断精度について次のような意見もあった。保険会社の参加者は「顧客へのメール送信で、NGワードなどの使ってはいけない内容をAIでチェックできないかPoCを回したが、精度は100%にならない」といい、「たとえ99.9%であったとしても0.1%は人が確認すればよいのかもしれないが、そこにNGワードが見つかるならAIを入れる意味がないのでは」と問題提起した。

 テーブルに同席していた富士通のAIエンジニアは、「誤検知やスルーに対する課題は認識しているが、現状では100%は難しい」ことに言及。「漏れに対して対応するためのステップを導入する、あるいは時間短縮やコスト削減などの異なる評価軸で成果を捉えてみる。それでもリスクが残るようなら、別の手法に切り替える」といった考え方を示した。

AI活用のモヤモヤを解消するコミュニティー

 テーブルでの話題はまだまだ尽きない。ここまで挙げた以外に、「AIは人間がこれまで発見できなかったことを見つけてくれるわけではない」と、AIへの誤解に対する意見もあった。他の参加者からは、「今のAIではマネタイズはできないという人もいるが、目的は人がAIを使って成果を上げることだとしっかり説明すべきだ」「AIを言葉だけで認識していて中身を理解していない経営トップ層が多い。上層部の誤解はコミュニケーションをとって解決することが大事」など、誤解は解消するべきとの意見が多かった。

 また、「AI環境は横断的に共通領域として構築すべきでは。メーカーや業界団体、あるいは国が主導して製造業AIを作るべきだ」と要望する製造業関係者や、「AIの判断の正しさを誰が判断するのか。悪意によって結果を操作できるのではないか」(教育業)といったAIのリスクを指摘する参加者もいた。

 さらに、「AIによる需要予測システムの導入を検討したが、ランニングコストも含めて考えると費用対効果が合わずプロジェクトを取り下げた」(流通業)というコストの話題や、「セールスノウハウのデジタル化に成功したとして、それを使って売上がアップした場合に、その要因がAIなのか人の努力なのかが分析しにくい」(金融業)などの効果測定に関する疑問など、話題はとめどなく広がっていった。



 今回は、レポーターとしてディスカッションを傍聴したが、ディスカッションで話題となったトピックや課題、苦労話など、ここでは網羅できなかったものも含めて「気づきと再確認」の連続だった。まだまだ気づきや共有できる課題は数多く残っており、参加者からは次回のクールにも期待しているので、ぜひ開催してほしいとの声が上がっていた。AI活用を推進している担当者や現場の当事者にとっては、まさにAI活用の「あるある」が共有でき、そのモヤモヤが解消できる「場」になり得る可能性を強く感じた。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2019年9月30日