東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。
2026年4月25日、イギリスの食材と和食が融合した寿司店「英国鮨(イギリスシ)」が池袋と目白の中間にある元スナックにオープン。「英国風江戸前鮨」がコンセプトという謎に包まれた正体を解き明かすべく、同店を訪れました。
ドアを開けると、ビートルズが流れる店内。店主を務めるのは、若き寿司職人の前島輝(まえじま・てる)さんです。イギリスの大学院を修了後、民間企業でマーケターとして約4年間勤務していた経歴を持ちます。イギリス時代に現地での日本食ブームを目の当たりにした時の衝撃が、会社員だった前島さんを寿司業界へと後押ししたそうです。
退職後、寿司職人養成学校で1年間腕を磨き、卒業後は「ミシュランガイド」獲得店で修業。その傍らで、出張寿司や体験教室なども手がけ、経験を積み重ねてきました。そして今年春、偶然空きが出たこのスナック跡地との出合い、同店を開くこととなりました。
提供するのは、前島のアイデアが凝縮された満身の「おまかせコース」。「おつまみ」3種・寿司10貫・汁物・デザートで5,500円(税込み)という「バグ価格」です。
取材時には、「おつまみ」として「トビウオのなめろう」「つぶ貝のぬた和え」「和風フィッシュアンドチップス」が提供されました。和風フィッシュアンドチップスは、イギリスの国民食フィッシュアンドチップスに着想を得た一皿で、エイの身とひれを香ばしく揚げ、麦芽を発酵させて造られるイギリス定番の酢・モルトビネガーをたっぷりとかけて味わいます。
おつまみの後は、いよいよ寿司が登場。前島さんが一貫ずつ、ゲストの目の前で握っていきます。モルトビネガーだけでなく「Colman」のマスタードや、「Mardon」の塩、ギネスビールなどイギリスを代表する食材や調味料が随所に登場し、江戸前寿司に新たな表情を与えます。
黒ビールと米酢で炊かれたシャリは、優しい酸味と奥行きのあるうまみを備え、個性的なネタをしっかりと受け止めます。確かに、イギリスの食材と寿司が融合していますが、奇抜さよりも洗練に近い印象があり、一つの「和の極み」である気もしてくるラインアップです。
前島さんは今後、さらにイギリスらしさを感じられるネタや料理を増やしていきたいと語ります。
イギリスと日本、海に囲まれた2つの島国の食文化が一つのカウンターで出合います。遊び心に満ちた発想と確かな技術が共存し、江戸前寿司の新たな可能性を提案する同店に、定番を愛する寿司好きもまだ見ぬ味との出合いを求める人も、訪れてみてはいかがでしょう。
タイムアウトは、1968年にロンドンで創刊され、現在は世界333都市59カ国、14言語で展開する国際的なシティガイドです。東京版「タイムアウト東京」は、日本のヒト・モノ・コトを独自の視点で取り上げ、日英バイリンガルで世界に魅力を発信。高いブランド力とグローバルネットワークを背景に、雑誌やウェブ、ガイドマップを展開。恵比寿には「タイムアウトカフェ&ダイナー」もオープンしています。
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