“ギスギス”する職場、その背後にある見えない問題とは:問われるコーチング力(2/2 ページ)
社員の不満を解消することで、働きやすい職場を作ることができるかもしれない。だが、それによって企業の業績が向上するかどうかは別問題であるという。
職場のギスギス度チェック
皆さんの職場では、次のようなことを感じることはないだろうか? チェックしてみてほしい。
- 皆とにかく忙しく、常に忙しい、忙しいと口にする
- メールでのやりとりが主で、対話をしない
- やって当たり前で、感謝がない
- 協力して仕事をしない風土があり、他の人が何をしているのか分からない
- 上司の話に部下が反応しない
- 結果だけを求められる
- それぞれが重複して行っている業務や作業がある
- 極端に業務負荷が高い人がいる
- 八つ当たりをする上司がいる
- 提案した人に負荷がかかる
3つ以上チェックがつく職場は、要注意。もう既に職場がギスギスし始めている。こうした職場を放置しておくと、次のような悪影響が出てくる。
「個人で業務が完結しがちなために、ミスを防ぐチャンスを逸し、誰も気づかず被害が拡大する」
「業務負荷の高い人を助けるようなことがなく、休職や退職者が増える」
「情報共有することが少ないために、個人にしかノウハウがたまらず、組織が成長しない」
「言い出しっぺが損をすることが多く、社員が言われたことしかやらなくなる」
「人を育てない風土になりやすく、優秀な人ほど辞めてしまう」
短期的には、ギスギスした職場でも業績は上がるかもしれないが、果たしてこのような状態を放置していて、長期的に会社の業績は上がるだろうか?
たとえ衛生要因(不満足要因)がすべて満たされていたとしても、職場のギスギスは発生する。ギスギスの原因は制度や環境だけではなく、上司と部下の関係、組織間の関係など、目に見えない関係性の問題から発生することが多い。
この目に見えない関係性の問題こそ、組織力を低下させ業績を低迷させる原因である。逆にいえば、この目に見えない問題が起こっている原因を1つ1つひもといていくことが、ギスギスを沈静化させ、業績向上を実現する組織になるために必要なことである。
もしあなたの組織がギスギスしていると感じるならば、人間関係や組織同士の関係など、目に見えないものの中に問題がないか書き出してみてほしい。問題が複雑に絡み合っているかもしれないが、1つ1つ書き出すことでシンプルに解決策を考えるヒントが得られるのではなかろうか。
プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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