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「IT経営協議会」発足、憂国の経営者がITを生かした経営を討議(2/2 ページ)
IT活用によるニッポン企業の競争力向上は、個々の企業のみならず、国家レベルで取り組むべき課題だ。経営者をはじめ産官学の有識者からなる「IT経営協議会」は、経営とITの融合や、それを支える高度IT人材、さらには企業の枠を超えた共通基盤の整備などについて議論し、実現を目指す。
当たり前のことを地道に
第1回の会合では、憲章の採択に先立ち、会員企業の経営者らによって自社の取り組みや考えも紹介された。リコーの近藤史朗社長は「以前からSCM(サプライチェーンマネジメント)構造改革を推進し全拠点の物流を可視化したり、日本版SOX法に向けてITで内部統制を強化するなど、ITを活用した経営に積極的に取り組んでいる」と話した。
また、CIO出身で知られるカルビーの中田康雄社長は「ITを有効活用する目的は経営戦略を実現するためにある。そのためには、ユーザーにストレスを与えない情報システム、ユーザーに対する積極的なIT教育、パートナーとの戦略的なコラボレーション、ITによるリスク管理などが重要」と強調した。
とはいえ、IT経営協議会は、経営とITの融合、ITを生かした経営という点では、「優等生」の集まりといえる。工場や拠点ごとに仕事のやり方が異なり、システムもばらばらに構築されている大半の企業とはやはり違う。この日うたわれたIT経営憲章がどれだけの効果を発揮するのか。りそなホールディングスの細谷英二会長は、「経営は文章ではなく、当たり前のことを当たり前にやり抜くこと。各企業がIT経営憲章を地道に遂行し、多くの成功事例を共有すべき」と話した。
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