資金繰りの悩みは「お金の見える化」でスッキリ解決!:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
企業の存続に欠かせない資金繰り。なぜか悪化するときは突然である。経済危機がひとまず収まった今、資金繰りを4つの通帳で管理してみてはいかがだろう。
4つの通帳で資金繰りを良くする
わたしは自身の仕事を通じて、数多くの預金通帳を見てきました。通帳は会社のお金の出入り口であるがゆえ、会社のお金の流れが一目瞭然です。特に中小零細企業の財布のヒモは、社長自らが握っており、それゆえ社長のお金の知恵そのものが、会社の資金繰りの命運を握っているといっても過言ではありません。そこで拙著は、仕組みを用いて資金繰りを良くする方法として、4つの通帳(預金口座)を利用した「1・3」フォーメーションを紹介しています。
- 売上収入を預け入れる「売上収入口座」
- 運転資金を預け入れる「運転資金口座」
- 急な支出や納税に備える「納税緊急口座」
- 将来の投資に備える「将来投資口座」
会社のお金の流れは、大きく分けて4つに分類できます。詳細は拙著に委ねるため割愛しますが、以下に紹介する4つの属性をもった通帳(口座)を設けることによって、会社のお金の流れを明瞭化、つまり「お金の見える化」を図るのです。
1つの売上収入口座に対して、3つの支出口座を連結する(図)ことにより、お金の流れを明瞭化します。そして、ひと月に1回、売上収入口座から各支出口座にお金を移動するプロセスによって、資金繰りの悪化状況をいち早く察知できるようになるのです。例えば、売上収入口座にストックされたお金を運転資金口座に移動する際、振り替えるお金が足りなければ「売上代金はすべて回収したか?」「運転資金は過分ではないか?」「削減できるコストはないか?」など資金繰り悪化の要因を、その都度点検できるのです。このように、4つの通帳を設けることによって、会社内に資金繰り悪化のセンサーを取り付けるのです。
通帳の読み方に専門知識は一切不要です。しかしお金をシフトするたびに会社のお金を動かしている実感を持ち、この実感こそが資金繰りをコントロール下に置く第一歩といえます。
経営者及び経営幹部にとって、決算書などの数字を読めるようにすることは重要です。しかし、会社を継続させるには、何より先に資金繰りについての知恵を身につけなくてはなりません。ぜひ、通帳を4つに分けて資金繰りの見える化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。資金繰りの悩みから抜け出すきっかけになるはずです。
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著者プロフィール:亀田潤一郎(かめだ・じゅんいちろう)
顧問先のお金を守る事を使命にし、数字に苦手意識を持つ経営者向けに預金通帳のみで資金繰りを良くする「1・3」フォーメーションを開発、指導。シンプルでありながら、お金のコントロール方法と予算管理の実践的な知恵が身につくと好評を博し、導入後3カ月以内に実施するアンケートでは、90%超の顧問先から「導入前に比べて大幅に資金繰りが改善している」との回答を得ている。その甲斐あり、この仕組みを導入した関与先での倒産件数はゼロである。学生時代、中小企業の経営者だった父の会社が倒産。不況時は数字に弱い社長ほど被害を受ける事を目の当たりにし、父の悲劇を繰り返さないためにも、社長のお金を守るため日々奔走している。
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