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新入社員は頼りにならない? そう言うあなたが頼りにならない生き残れない経営(1/3 ページ)

現役20〜40歳代男女に聞いた調査結果では、、「新入社員に求めたい能力」として「あいさつ力」が入った。先輩諸氏は新人の「あいさつ」に随分ご執心のようだ。

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増岡直二郎氏による辛口連載「生き残れない経営」のバックナンバーはこちら


 2010年の新入社員と若者について、意識調査の興味深い結果が、先日の日本経済新聞に掲載されていた。例年のことだが、この種の新入社員調査結果について今年も若干考えさせられる。大したことのない調査結果を、大仰に考え過ぎるようだ。

 2010年6月26日付け日本経済新聞に、2010年6月調査の「先輩社員に聞いた“気になる新人の言動”」が載っている。第1位は「メモを取らずに同じことを何度も聞く」、以下「あいさつがきちんとできない」「指示待ちで言われたことしかやらない」、第4位以下に「雑用を率先してやろうとしない」「同じミスを何度も繰り返す」と続く。

 一方、「新入社員に求めたい能力」として、現役20〜40歳代男女に聞いたORICON CAREERの調査結果では、1〜3位は2008年が「あいさつ力」「行動力」「人間力」、2009年は「常識力」「あいさつ力」「コミュニケーション力」となっていた。どの調査でも先輩諸氏は新人の「あいさつ」に随分ご執心のようだ。

 しかし、あいさつなんてことさら問題にするほどのこともない、どうにでもなる。上司や先輩の方から、朝から夕方まで大声で「おはよう」「ありがとう」「ご苦労さん」「お先に」などと新人に声をかければ解決する問題だ。もっとも「あいさつ」がすべての能力を測るバロメーターだという判断なら、単純にあいさつをオウム返しに教えても無意味だが、「新人に求めたい能力」として挙がっているテーマなどは、その程度で教え込むことはできる。

 「メモを取らない」、わたしの新入社員のころを思い出す。伝票の書き方や連絡の仕方などルーチンワークは、大学の講義に比べて実に単純なことだ。すぐ覚えられると思ってしまう。しかし単純なことでも、日数が経過したり、伝票の種類や連絡先が増えたりすると記憶があいまいになり、混乱して分からなくなる。そこでわたしはメモの必要性を後日認識し、ノートを買ってきて、改めて上司や先輩に問い質し、メモを始めたものだ。メモを自発的にしない新入社員には、メモとその仕方を指示すればいい。取り立てて騒ぐことはない。

 それよりも、日本経団連の「新卒採用に関するアンケート調査」の結果の方が気になる。


第1表:「選考時に重要視する要素」の順位推移(回答割合は省略し、順位のみ表示、2010年2〜3月調査実施)

 近年チャレンジ精神の重要視度が落ちて、コミュニケーション力と協調性が重んじられるということは、企業が組織に溶け込む無難な人材を求めているように思えてならない。

 それは果たして企業のためになるのか。企業が社員のバイタリティと創造力で現状の閉塞状況を打破して行こうとするなら、経産省が定義する「社会人基礎力」に立ち返ってみるのも1つの方法であろう。

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