ぬるい部下に悩む上司:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
今のような変化が激しい時代には、ぬるい社員は生き残ることができない。入社時には優秀だったが、徐々に組織の色に染まり、危機感が薄れ、使命感を持てなくなっていった社員をよみがえらせる、7つのステップ。
ぬるい人の対処法
それではU君みたいな人はどうしたらいいのだろうか。次のようなステップを踏むといい。
(1)話し合う機会を持ち、原因を特定する
(2)解決策を考えさせる
(3)ゴールと戦略を明確にする
(4)期日を決めて実行させる
(5)定期的にフォローする
(6)できたら大げさなくらい褒める
(7)危機感を持たせる
第1に、上司が部下と徹底的に話し合い、問題点を探りながら、何が原因なのかを突き止める。U君の場合は、1週間後までに報告書をまとめると約束しておきながら、その約束をいとも簡単に破っている。その原因は何なのだろうか、事なかれ主義、先送り主義の真の原因を何なのか。話し合って原因を探ってみると、別の人からも依頼されている仕事があり、それも安易に受けてしまい、にっちもさっちもいかなくなっているのかもしれない。まずは、話し合い、原因を特定する。
第2に、原因が特定できたら、解決策を考えさせる。本人にどうしたらいいのかを考えさせるのがよいが、もし適切な解決策が浮かばない場合には、アドバイスをしてあげてもいい。いろいろと仕事を受けてしまっていて動けない状況になっているのであれば、「できないものはできません」とときに率直に伝えたほうがいいとアドバイスしてもいいだろう。
第3に、解決策が見つかったならば、ゴールと戦略を明確にする。目指すべきことが何なのか、そしてそのために何をすればいいのかを明らかにしていく。仕事ができない人の多くは、ゴールや戦略が明確でないために、どこから手をつけていいか分からないということがある。報告書を期日通りに書けるようにすることをゴールにするならば、それに向かって毎日どういうことをするのかを書き出す、進捗状況を手帳に書くなど、戦略を考える。
第4に、ゴールと戦略が決まったならば、あとは実行あるのみ、大事なのは期日を決めることである。期日がなければ人はなかなかやる気にならない。部下に仕事を依頼するのであれば、いつまでに必ずほしいということを明確に伝える必要がある。U君の場合は、それを明確にせず、任せてしまったために、先延ばしになってしまったともいえる。
第5に、指示したことが実践できているかどうか、定期的に確認していく。最初の頃は毎日進捗を聞いてもいいだろう。ある程度自分で慣れてきたら2日に1回、1週間に1回でも構わない。進歩、前進しているということをお互いに確認し合うのである。
第6に、もし何か少しでも成果を上げたり、達成できたならば、大げさなくらい褒めてあげる。定例会議などがあれば、その場で褒めてもいいだろう。「○○さんが報告書を作ってくれました」できるだけみんなの前で褒めることで、モチベーションが上がり、やる気が増すはずである。
第7に、常にある程度の危機感を持つことの大切さを認識させる必要がある。変化が激しいこのような時代には、言われていることをこなすだけでは取り残されてしまう。ましてやそれすら守れないとなると、生き残ることは到底不可能である。ぬるい環境で生きていける時代は終わった、危機意識を持っていない危うさについて明確に伝えることが大切である。
最後に認識してほしいことがある。ぬるい社員を作っているのはあなたの会社だということである。ぬるい社員がいるのは、自分、そしてあなたの組織の責任である。それを肝に銘じ、実践し、改善を図ってほしい。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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