ぬるい部下に悩む上司その3:ビジネスマンの悩み相談室(2/2 ページ)
ビジネスにスピード感が求められる昨今、環境の変化を素早く感じ、つかんでいかないと顧客に置いてかれてしまう。ぬるい部下を目覚めさせる方法とは。
安全ボックスから引き出すには
それでは、安全ボックスから引き出すにはどうしたらいいだろうか。
前回ミッションを持つことの重要性について話したが、よりとっかかりやすいことを紹介する。それは、いつもとは違うことをやってみるように勧めることである。
例えば次のようなことがある。
・通勤のルートを変える:いつも同じ風景を見ていると、同じような考え方しかできなくなってしまう。通勤のルートを少し変えて、いつもと違う街の景色を見るだけで、新しい発見があり、アイディアが浮かんできたりする。
・高級レストランで一番安いものを食べる:500円のお弁当を食べるものいいが、たまには高級レストランに足を運んでみてほしい。お昼時ならば比較的リーズナブルな1500円程度の食事があったりする。たまには高級レストランに行き、そこにいる人はどういう人か、どんなサービスをしているか、見てみてほしい。大きな気づきを得られるはずである。
・非日常のものに触れる:自分が簡素なアパートに住んでいるならば、モデルルームを見て行ってみたりする。その他にも高級な車に試乗してみたり、高級ブランドのショップに足を運んでみてほしい。高級な品にあまり興味がない人が増えていると聞くが、もちろんそれはそれで構わない。ただし、高級ブランドに足を運ぶ人がいて、そういう世界がある、自分と違う世界があるということを知り、違う世界と触れる、自分と違う人間と接することが大切である。
最近の人は飲み会にも行かず、賭けごともしないという。それはそれでいいのだが、安全ボックスから出るには、まずは日々のこんな些細なことを工夫してみて、自分が知らない世界がある、どんな世界だろうと興味を持つことから始めさせるとよいだろう。
安全ボックスにいたいと思うぬるい社員は、うまくそこから抜け出すチャンスを見出してあげれば、とてもよい働きをする人になる場合も多い。話したことを実践して、ぬるい社員を安全ボックスから引き出し、チームとして成果を上げられるような人材に育てることを願っている。
著者プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ぬるい部下に悩む上司その2
- ぬるい部下に悩む上司
- いつでもいい人でいようとする上司
- 過去のことを「なぜ」と問い続ける上司
- 失敗した部下を激しく叱責する上司
- 部下にレッテルをはる上司
- 自分はがんばっていると主張する部下に悩む上司
- ネガティブな思考をする部下に悩む上司
- 営業成績が上がらない部下に悩む上司
- 「数字」や「データ」がすべてだと思う部下に悩む上司
- ホウレンソウをしない部下に悩む上司
今回は新年度に際して、多くのリーダーの方々に共通する悩みである「ホウレンソウをしない部下をどうしたらいいのか」についてお話ししたい。 - 「草食男子」の育成に悩む上司
日ごろお会いする企業のリーダーの方々から「最近の若手社員の考えがまるで分からない」という意見をしばしば聞く。上司としてどう対応すれば良いのだろうか。 - ビジネスマンの悩み相談室:働かないバブル世代に悩む部下
日々奮闘するビジネスマンに悩みは絶えない。中でも特に厄介なのは、上司や部下に対する問題など職場における悩みである。新連載ではビジネスコーチングの見地から解決策を施していく。