「成長は、全てを癒やす」それがビジネスパーソン人生の真実:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
生きていれば誰でも将来に不安を覚えることはあるだろう。しかし、自分で目標をたて毎日成長を続ければ結果が付いてくる。そして自分らしさを発揮するための「実力派あまのじゃく」を目指してほしい。
金も、時間も人脈も、自分の成長についてくるもの
世の中で、ビジネス・パーソンとしての成功を追いかけながら、「どうしたら大金を作れるか? 」「どうしたら、もっと余裕を持てるように時間が作れるか? 」「どうしら華麗な人脈を誇れるようになるか? 」そんな悩みに心をとらわれることも多い。わたしも、時々立ち止まって、そういう悩みにとらわれた。
しかし、自分の過去を反すうしてみても、わたしの場合は、「金を追いかけたときは、必ず金は逃げていった」「テクニックで時間を産み出そうとすると、仕事品質が不安定になって、結局、時間も逃げていった」「営業スマイルで人脈拡大にいそしんでも、名刺は増えるが、心を割ってつきあえるビジネス・パートナー級の人脈は全くできなかった」ことは、明々白々だった。
金、時間、人脈の充実が感じられた時は、自分がはっきりと成長できていたときだけだった。自分が努力でできること。それは自分の成長だけしかない。自分が成長すると、高層ビルのシースルー・エレベーターにでも乗っているように、上に上るたびに大きく見えてくる景色も変わる。
わたしはもともと自分が生きるため、自分の自己顕示欲やエゴを満足させるために一生懸命競争に立ち向かって働いている、と自分が成長の壁にぶち当たる。他者を巻き込めないからだ。他者をマネジメントするための色々なテクニックを学び、実践してみるが改善できない。
そして気が付く。自分の心の持ちようを変えなければいけないことを。他者の幸せを手助けするのがわたしの仕事であることに気が付いた。そうしたら、自分のエゴにがんじがらめにされた自分が変わってきた。確実に一歩成長した手応えを感じた。仕事は、順調に回り出す。チームでの仕事がうまくいくようになり時間的余裕にも恵まれ、新しい仲間に恵まれ、報酬にも不満が無くなった。自分のことにこだわりすぎた自分が消え去っていた。
「実力派あまのじゃく」のすすめ
自分成長の目標は何か? 漠然たる目標で構わないと思う。自分のスタイルで、自分が良いと思った風に、自分だからできる方法で仕事をするようになる。それがわたしの目標である。しかし、そのためにはビジネス界で、皆が常識としている基本的なビジネス・スキルを理解しておくのは必要条件である。しかし、世の中で大事だといわれるビジネス・スキルを学ぶだけでは、自分の価値は上がらない。
「わたしも同じ」という模倣戦略で企業が勝ち続けるのが難しいのと一緒だ。自分だからこその付加価値を考え、産み出し続ける能力を身につけなければならない。大胆で柔軟な発想力に溢れた頭にならなくてはならない。そう、あまのじゃく能力だ。わたしは、ビジネス・パーソンの成長の目標を、基本のビジネス・スキルは身につけて、かつ自分なりの差別化のできる人材という意味で「実力派あまのじゃく」と名付けている。
この先の見えにくい、放っておけば不安に頭が占領される空気のなかで、是非前向きに、一歩一歩、自分のビジネス・パーソンとしての人生を歩んでいってほしい。そのためには、(1)ダウンサイドの貯めを作ることと同時に、(2)アップサイドは、自分を毎日成長させること。それは、良識あるビジネス・パーソンとしての修練を経た上で、自分の独自の色の出せることである。毎日、何かを学んでいこう。あなたの成長は、あなたを癒やしてくれるから。皆さんの成長のためのやさしいガイドブックとして「成長のルール」を出版した。まずは、軽く手にとってもらいたい。
著者プロフィール:山本真司(やまもとしんじ)
1958年東京都出身。1982年慶應義塾大学経済学部を卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行後、1985年シカゴ大学経営大学院(ビジネススクール)留学。1987年MBA with honors(栄誉MBA修士号)を取得、全米成績優秀者協会会員となる。1990年ボストン・コンサルティング・グループを経て、A.T.カーニー極東 アジア共同代表、ベイン・アンド・カンパニー東京・代表パートナーなどを経て、2009年独立。現在、経営コンサルティングを営む、株式会社山本真司事務所 代表取締役、立命館大学経営大学院客員教授。他に、慶應義塾大学健康マネジメント大学院、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科にて、非常勤講師としてスポーツ・ビジネス・マネジメントを 教える。静岡県サッカー協会評議員。
「40歳からの仕 事術」(新潮新書)、「20代仕事筋の鍛え方」(ダ イヤモンド社)、「会社を変える戦略」(講談社新書)「20代・30代のための『自分成長戦略』設計書〜流行りのスキルアップ術に踊らされない〜」(日経BP社、携帯 電子書籍、2010年4月発売)、「新装版 30歳からの成長戦略」(PHP研究所)、「35歳からの『脱頑張り』仕事術」(PHPビジネス新書)など著書多数。
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