グローバル時代に身に付けたい洗練されたビジネス英語の極意:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
ビジネス英語というと構えてしまうが、海外のエグゼクティブの会話に説得力があるのは使っている単語が違うため。そして上達するためには繰り返すこと。相手の心に届くビジネス英語とは。
英語を英語で理解する
この本は2011年4月から9月にかけてわたしが講師を務めたNHKラジオ「入門ビジネス英語」の番組用テキストを基にしている。番組は6カ月で96単語をマスターするという高い目標を掲げた講座内容にプラスして、この本ではさらに5単語を書き下ろし、合計101単語を紹介している。
番組では紹介できなかった48単語に関するダイアローグ、解説、英英辞典の解釈などを増やしたより充実した内容となっている。ビジネス英語に初めて触れる人には「ビジネスの現場ではこのような単語を押さえておけばよいのか」と新鮮な気持ちで取り組んでもらえ、また6カ月間番組を欠かさず聴いた人には総復習にプラスして新しい内容も学んでもらえるはずである。
ちなみに、NHKラジオ講座で英語を学生時代に学んだという読者も多いかと思うが、NHKのラジオ講座は語学学習のコストパフォーマンスが非常に高いと社会人として仕事もひととおりやってきて、自分が番組に触れるようになって再認識している。1カ月のテキストは380円(本当に著者や出版社はじめスタッフの投下労力とこのクオリティを考えたら破格である)で、あとはラジオを聴いて自分で復習をする。
昨今では放送内容を予約録音する機材も入手しやすいので、仕事で番組を聴き逃したとの言い訳はきかない。またNHKでも遅ればせながらインターネット配信も始めたので、今はインターネットでラジオが聴けて勉強に生かせてしまう時代なのである。
細かい紹介は避けるとしても、社会人として是非目を通してもらいたいのがその英単語のニュアンスをつかむために、英英辞典解釈を使って「英語を英語で理解する」コーナーがすべての単語についている点である。
わたし自身、辞書は英和、和英のみならず英英辞典、英語の類語辞典をいつも手元に置いて何かあればすぐに引きながら英語を身につけたと思っている。通訳をしていつも痛感することのひとつに英語と日本語は1対1の訳はない、という点である。違う言語ゆえ、単語ひとつひとつにはその言葉ならではの意味が込められており、そのニュアンスを知ることは言葉に対する理解も深まり、言語を学ぶ楽しみのひとつといってもよいだろう。
特にビジネスにおいては微妙なニュアンスを理解していることが、現場にふさわしい言葉遣いができるようになるための近道である。読者の皆さんも、これをきっかけにぜひ「英語で英語を理解する」楽しみを味わってもらいたい。
「英語を上達するにはどうしたらいいでしょうか? 」
これは通訳の現場でも、最近の講演の場でも必ずといってもいいほど出る質問だ。それには「大量のインプットとアウトプットを繰り返すこと」と答えることにしている。良質の英語をインプットし、それを自分で声に出したり、書いたりしてアウトプットするのである。何にでもいえることではあるが、量をこなすことによってそこから質が生まれるので、地味なトレーニングではあるが続けてもらいたい。
今回はアプリやCDもあるため実際に音を聞いて、それを繰り返すというトレーニングが可能となっている。地味なトレーニングではあるが、聞き流しているだけよりも格段に力がつく方法だ。紹介する単語を現場でスムーズに使えるようになるには、思わず口からその文章が出てきてしまうくらい繰り返し声に出して練習してみてもらいたい。自身で上達の違いを実感できるはずである。
今後グローバルに活躍するであろう、すべてのビジネスパーソンに贈る今のわたしにできる精いっぱいをこの本に託したつもりである。この本を通して仕事で相手に印象づけられる英単語をマスターし、自信をもって英語を使いこなし、世界で活躍する日本人の方に一人でも増えてほしいと思っている。
Let's jump right in!
著者プロフィール:関谷英里子(せきやえりこ)
日本通訳サービス主宰(www.jtservices.jp)
アル・ゴア元米大統領やノーベル平和賞受賞ダライ・ラマ14世やヴァージン・グループの創設者リチャード・ブランソン氏など一流講演家の同時通訳者。慶応義塾大学経済学部卒業後、伊藤忠商事、日本ロレアルで日本語・英語での事業提携交渉やプレゼンテーションの第一線を経験、その後独立。現在通訳及び翻訳家として活動。主な著書に『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『えいごのつぼ』(中経出版)2011年前期NHKラジオ「入門ビジネス英語」講師。ビジネスの現場で苦労しながら身につけた英語をわかりやすく解説した、実用的な内容が好評。
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