成功のトリセツ:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
ラグジュアリーな空間に放り込まれても、普段の感覚を見失わない人間だけが人生とお金との対決において最終的に勝利できる。ましてやリーダーには、さらにシビアな金銭感覚が求められる。
時間とお金は等価交換できる
収入を上げたいのなら、あなたが与えている価値と等しい金額を受け取る勇気もまた必要なのだ。この真実に気づけた者から、収入はアップしていく。
この話をする前に、まず最初に、パチンコ玉を想像してみてほしい。
パチンコという遊戯は、主に大当たりした後に出玉と交換してもらえる景品を、店外に設置されている景品交換所で交換することを目的に行われている。なぜ、こんな複雑なシステムになっているかの説明は長くなるので、ここでは省くが、大当たりしてパチンコ台からジャラジャラ出てくる約2000個のパチンコ玉がいくらの現金になるかは、換金率によって変わるのだ。この換金率は店によって異なるが、今調べたところ1円から4円の間になるようだ。つまり一般的に大当たりすると2000円から8000円になるわけで、より少ないお金でフィーバーすると儲かるわけだが、最終的な結果は、丸くて小さいパチンコ玉が1個何円かに大きく左右される。
時給というのは、つまり利益率である。
別の言い方をすれば、時給とは、1時間働いて得ることのできるお金、つまりあなたが持っている24時間のうちに1時間をお金に換金した金額のことなのだ。分かりやすく時給1万円とすれば1秒ごとに4円である。この人生の貴重な時間を費やして、より多くのお金と、自分の時間を有利に交換している人がお金持ちになり、交換できる適正な価値を知らなければ、会社や他人に貴重な時間を搾取され、貧乏な上に忙しくなってしまうのだ。
ゆえに時間はお金と換金可能であり、1秒が1円のパチンコ玉だと考えると、1時間とは3600発のパチンコ玉と等しいのである。
嵐がブレイクした理由に見る、ビジネス成功の法則
昨年の24時間TVの司会を務めたのはジャニーズの嵐である。嵐といえば今や国民的なスターアイドルであるが、ここまでブレイクしたのはわずか数年のことだろう。つまり1999年のデビューから10年ほどの時間を要しているのだ。「嵐はなぜ人気が出たのか?」の理由として一番単純な説明は「露出が増えたかこと」だろう。所属事務所であるジャニーズ事務所の力もあり、ドラマ出演と主題歌のタイアップやCM、バラエティの出演が大幅に増え、単純接触回数の効果により、認知度が大幅にアップしたということになる。
しかし、これでは同じ事務所に所属していて嵐ほどブレイクしなかったV6やTOKIOが、なぜ嵐のようにならなかったのかの説明にはならない。なぜなら、嵐がブレイクした後ではあればいくらでも理由はみつけられるのだが、SMAP全盛時に「次は嵐」と決定づけられるような要素はなかったのである。
複雑系の用語で「バタフライエフェクト」というのがある。ある場所での蝶の羽ばたきが別の場所で嵐や台風を巻き起こす可能性があるという意味だ。人生というカオスに満ちた空間にはさまざまなバタフライエフェクトが働いている。嵐がV6やTOKIOになる可能性はあったはずだが、ちょっとした偶然がいくつも積み重なって今の現実を呼び起こしたのだ。
では、ブレイクすることはすべて偶然なのかというとそれも違う。僕が多くの書物を読み、現実を注意深く観察したうえでいえば、きっかけはちょっとしたことで起こるのだが、その前提として、
1、努力し続けていること
(マルコム・グラッドウェルのいう「一万時間の法則」のこと)
2、チャレンジし続けること
(とにかくサイコロをふらなければ6の目は出ない)
3、大きなマイナスを避けるように行動する
(先の投資の話と一緒でスキャンダルやトラブルで一瞬のうちに墜落しないように気を付ける必要がある)
この3つが重要な要素であると可能性が高いと思う。
一見当たり前のように思えるかもしれないが、
- 努力し続ける
- チャレンジし続ける
- 大きなマイナスを避ける
ことが個人は充実した人生を送り、企業や組織が長期的に発展するために重要な要素である気がする。
著者プロフィール:水野俊哉
1973 年東京生まれ。大学卒業後、金融機関を経て、億単位のカネが怒濤のように流れては消え、また流れ込んできていた2000 年代初頭のITバブル期に、若手起業家としてベンチャー起業し、この世の春を謳歌していた。しかし、人生のすべてを捧げ目標としていた「上場」の直前で、内紛をきっかけに取締役を解任され会社から追放される。その時に、個人保証を入れていた3億円の負債を抱える。月々の返済額は500万円。仕事もなく、返す当てもないままに利子だけが膨らんでいく悪夢のような現実と向き合い、すべてを失う。予定もなく、膨大な時間だけが残されたあげく、吸い寄せられるようにビジネス書や成功本と出会い、自分自身が成功本のモルモットになることを決意し、実際に「ベストセラー作家になる」と紙に書いてみる。その後、絶望から再生し、経営コンサルタントとして数多くのベンチャー企業経営に関わっていると、たまたま友人に誘われた麻雀の雀荘に編集者がいて……という不思議な形で執筆のチャンスをつかむとその本がいきなりベストセラーになり、執筆依頼が殺到するという思いもよらぬ事態に見舞われるとともに紙に書いた夢が現実のものとなる。それからは、世界中のありとあらゆる成功本、ビジネス書、自己啓発書を4000冊以上読破し、成功法則の研究と執筆の日々が続く。現在は、作家活動を中心として、セミナー、講演などの活動も行っており、なかでも出版セミナーに関しては、日本一の美女率を誇るといわれている。
著書:『成功本50 冊「勝ち抜け」案内』(光文社ペーパーバックス)、『「法則」のトリセツ』(徳間書店)、『「ビジネス書」のトリセツ』(徳間書店)、『お金持ちになるマネー本厳選50 冊』(講談社)、『徹底網羅!お金儲けのトリセツ』(PHP 研究所)、『幸福の商社、不幸のデパート』(大和書房)など多数。
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