リーダーに必須の人間力──信頼され未来を決める力:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
どれだけ能力があっても、人間力がなければ信頼することができない。器の大きな人は多くのひとが怖じ気づくところで落ち着いて判断することができる。人間力を高めるための3つの規律とは?
周りから信頼を得るための人間力
決断をすることこそ、リーダーの最重要の仕事になっていくでしょう。
しかし、ただ上の人が決断したからといって、下の人たちはついてくるでしょうか。どうやらそう単純ではないようです。嫌々従っても、その人たちのもっている力は十分に発揮されませんし、なにより一致団結することはとても難しいでしょう。
「どうなるか分からない」という状況に巻き込まれている人たちは、不安でいっぱいです。未来が信頼できないときに、信頼できるのは人です。「このままどうなるか分からない、でもこの人のことは信じることができる」
そこで人間力が分かるのです。
逆に言えば、うまくいっているときはついてきてくれたのに、うまくいかなくなって、ここから踏んばろうというときに人が離れてしまった、というのは、ついていったのは「そのひと」だからではなく、「うまくいって甘い汁が吸えたから」かもしれません。
周りから信頼されて、決断したことへ、巻き込んでいく。ここで、「人間力の必要性」を痛感する人が多いようです。
人間力を高めるための規律
「好きにしていいよ」と言われて、生活が乱れてしまう人と、パフォーマンスがさらにアップする人がいます。違いは、「規律」を自分の中に持っているかどうかです。
自由裁量に強い人は、自分の中にルールをもっています。だから、誰も見ていなくても、どれだけ権力が与えられても、きちんとルールを守ることができます。しかし、規律がない人は、自由になった途端に崩れてしまう。
規律とは、苦しいものではありません。むしろ、それがあるからこそ、自分が自由でいられるものです。ここでは、「人間力の磨き方」(きずな出版)にて、取り上げている「人間力を高めるための規律」についてお伝えします。
規律1:自由は自分との約束の中にある
信頼されるためには、まず自分自身との約束をしっかり守っている人であることが大事になります。「言行一致」「有言実行」などと、人間力の教科書ではいろいろと言われますが、「他人との約束」を超えて「自分との約束」を守る、ということです。
誰かに決められたことだからやっている、という人は雰囲気から義務感がにじみでています。やらされている、という空気感をまとっています。周囲の期待を越えたレベルの結果を出すことができるから、その人には自由が与えられます。
そのためには、「やらなければいけないこと」だけに追われるのではなく、一歩進んで、「やらなくても困らない。でも、それをやると未来が良くなる」という「緊急ではないけれど、重要なこと」に時間を配分するようにしていきましょう。
緊急でないものを行っていく力が、決断力なのです。
規律2:1週間後の自分を意識する
日々の目の前のことに追われていては、あっという間に月日が経っています。特に、変化が激しい環境で活躍している人たちからよく聞く話は、目の前のことに追われているうちに、時代の流れから取り残されてしまう人が多い、ということです。
結局、視野が狭く、目の前しか見えていないのです。視野を拡げ、大局がみえないのです。目の前のことができるということは、能力があるのですから、これはもったいないことです。
私たちは、今日の選択の結果から、明日をスタートさせます。だから、今日怠けると、明日の自分が「昨日のオレたのむよ!」と言うでしょうし、今日きっちりやっておくと、明日の自分が「昨日のオレありがとう!」と言うかもしれません。
ですから、「どうしたら1週間後の自分が喜ぶか?」をスケジュール帳をみながら考えてみてください。
規律3:自分を磨き上げる環境に置く
人間力を高めるということは、リスクを背負い、決断しなければならない状況に自分を置く、ということです。そういう環境でこそ、人は成長することができますし、スキルに頼らない状況でこそ、人間力は磨かれていきます。
環境に人生を左右されるのではなく、自ら環境を選び、環境をつくり出し、人生を創造していくためにも、自ら居心地が良いところを出て、挑戦し成長せざるを得ない環境に進んでいくと、人間力が磨かれるのです。
著者プロフィール:池田貴将
株式会社オープンプラットフォーム 代表取締役
リーダーシップ・行動心理学 研究者
早稲田大学在学中よりベンチャービジネスの新規事業立ち上げなどに関わり、ビジネスの中での「心理学」の重要性を感じる。成果をもたらす心理学の中で、世界的に有名なアンソニー・ロビンズのトレーニングを受けに渡米。アンソニー・ロビンズの主要トレーニングを修了。
大学卒業後、株式会社オープンプラットフォームを設立。起業家・経営者・ビジネスリーダー向けのスクールを主宰。ビジネスの成果を上げる「感情と行動をつくる心理学」と、東洋の「人間力を高める学問」を統合した独自のメソッドが注目を浴び、書籍や雑誌などに数多く取り上げられる。その誠実に学び続ける姿勢と、膨大に蓄積した知識を生かした講座は「専門家」も多く参加するセミナーとして全国で広く知られている。世界で活躍するビジネスリーダーを輩出することをミッションに、全国で活動している。
著書『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』『動きたくて眠れなくなる。』(サンクチュアリ出版)『未来記憶』『心配するな。』(サンマーク出版)、『がんばらないほうが成功できる』(PHP出版)累計で35万部を突破。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- なぜ文章力があるとビジネスは成功するのか?
- 一流の人は、悪口を言わずミーハーになる
- 「任せ方の教科書」〜部下を動かし成果を上げる「任せ方」とは〜
- 「問題解決のジレンマ」――「仕事ができるアリ」と「発想が豊かなキリギリス」は真逆の思考をする
- 鷹は、自らの爪・羽根・くちばしを折ることで、生まれ変わる
- あなたに合ったリーダーシップが見つかる! 40のリーダーシップと4つのマネジメントスタイル
- 99%の人がやせると話題のライザップ、その快進撃の秘密とは?
- 今の会社に残るか? 移るか? 独立か?――70歳まで働く「社会人人生50年時代」到来のいま、30代以降の転職を成功させる方法
- 挨拶ができる人は、会話ができる
- 「社長の覚悟」守るべきは社員の自尊心
- 優秀なリーダーほど、コンサルタントを上手に使っている! ――自社、自部門の業績を向上させる、本当のコンサルティング活用策
- 「やわらかい頭の作り方」――自ら柔軟に変化していくためのヒント
- 頑張らなくても、すごい成果がついてくる! ――「いいひとマネジメント」から「ずるいマネジメント」への転換のススメ
- 最速で成果を出すために、「やることを絞る」人になる
- 今日も208回謝った! でもそれは、チャレンジの証
- 方針浸透のカギを握るマネジメント職――真意を伝えるために「チーム」の力を生かす
- なぜ、あのリーダーには、自然と人がついてくるのか?――人を引きつける「おもしろさ」の流儀
- 怒ったって良いじゃないか――リーダーは怒りをエネルギーに転じよ
- 僕たちは「会社」でどこまでできるのか?――モーニングピッチ「創業者」塩見哲志氏は、いかにしてイントレプレナーになったか?
- 器の大きい人は、メールラリーを、相手のメールで終わらせる度量がある
- 権威を後ろ盾とした思考停止は、一刻も早く改めたほうがいい
- 「“具体的”であることだけが本当に良いのか?」――「具体と抽象の往復」で考える
- リーダーは「孤独」を楽しめ――死ぬ気で働くリーダーにだけ人はついてくる
- 学歴や能力以上に大切なモノがある。それは、「好かれる」こと
- 銀座のママが教える、ビジネスパーソンが持つべき「心意気」とは?
- サイバーエージェント出身起業家が教える「ズバ抜けた結果」を生むメンバーの育て方
- 90日プランで見える結果をすぐに出す「初速思考」
- 吉田美和の歌詩で心を耕し、仕事への活力を養う
- 日本にこそ「クラウドファンディング」。その魅力とは?
- メンタルヘルスに強いリーダーになる! 簡単な方法
- 一流の人は真正面からうけとめない。「正攻法」を放棄するという「成功法」
- 物事の本質を見極めれば、グローバルに成功できる
- 葛藤を引き受ける覚悟がリーダーを成長させる
- 「仕事ができる人」より、「品のある人」が、チャンスをつかむ
- 「仕事づくり」でもっとも大切な考え方と行動
- 説得せずに説得する
- 「第8の習慣」が提示する、真のリーダーシップとは