なぜ人は逆に考えるべきなのか?――ビジネスで大成功する秘訣:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
あまのじゃくでひねくれてみよう。「当然こうだろうな」という考えを疑ってみることで見えてくるものがある。
拙著『成功する人はみな《逆》に考える』(ぱる出版)でも紹介しましたが、F・エマーソン・アンドリュース著『さかさ町』という本があります。主人公の子どもたちが、何もかもが逆さになっている町に迷い込んでしまうというストーリーです。建物も逆さま、文字も逆さま、極め付きは人々の考えることまで逆さま。
いったい何を訴えている本なのかというと、物事を逆さに考えることで、意外にいいことがあるということです。例えば、病院を楽しい場所にする。苦い薬ではなく、おいしい薬を出したりして。そうするとみんなが行きたがりますよね。この発想はビジネスにもそのまま生かせます。きっとこんな楽しい病院をつくった人が大成功しているのでしょう。
最近この発想で一番成功した有名人は、ドナルド・トランプではないでしょうか。誰もがゲッと思うようなことを言う。嫌われることを平気で言う。まさかアメリカの大統領ともあろう人がが言うはずのないことを言う。それをあえてやったから、受けたのです。この意外性がカギを握っています。
こんなふうに、逆に考えることで成功するのは間違いないのですが、逆の思考にはもう1つ大きなメリットがあります。それは、そもそも毎日が楽しくなるということです。道を歩きながら「もしあれが逆さまだったら」とか「もしあの人と逆だったら」なんて考えるだけでわくわくしてくるものです。ぜひ試しにやってみてください。
逆に考えるということは、世の中の見え方が変わるということです。それはもう別の世界に旅するようなものなのです。つまり、自分の住んでいる町が「さかさ町」になるのです。世の中には天才とか奇才と呼ばれる人がいます。そこまでいかなくても、あの人は視点が違うとか、鋭いなんて言われる人がいますよね。そういう人は実は物事を逆に考えているだけなのです。ですから、誰だってそんなふうになれるわけです。
しかもこの方法はいたって簡単です。ただ物事を逆に考えればいいだけなのですから。どうしてもできないという人は、まず否定することから始めてみてはいかがでしょう。「〜ではない」と言ってみるのです。仮にそんなふうには思っていなくても。あとは勇気だけです。目の前にあるパソコンに向かって、「これはパソコンではない」と叫ぶのです。
叫びましたか? いいですねぇ。パソコンなのにパソコンじゃない。ではいったいなんでしょうか? どうしても考えちゃいますよね。それでいいのです。そんなふうに考え始めることが大事なのですから。勇気を出してパソコンの存在を否定することができた皆さん、逆さまの世界へようこそ!
著者プロフィール:小川仁志(おがわひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部准教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。商店街で「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践している。専門は公共哲学・政治哲学。著書に『7日間で突然頭がよくなる本』(PHP研究所)、『仕事が変わる哲学の教室』(KADOKAWA)、『「まいっか」というだけで幸せになる』(自由国民社)、『成功する人はみんな《逆》に考える』(ぱる出版)等多数。
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