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あなたの「感性」は武器になる。これからの社会で生き抜くためのキャリア戦略ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

コロナ禍で今後のキャリアに悩む人、部下の育成に悩んでいるリーダー、組織がバラバラで頭を抱える経営者など、今働く上で悩みを抱えている全ての人に読んでほしい。

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 そういうときに問われるのは、頭がいいとか、賢いとかそんなさまつな能力ではなく、これからの人生を生きているか、どうかでしかないのです。

 だから、苦しいときでも自分の価値観を持っている人だけが、人を率い、他者から真に尊敬される。人から愛される。なぜなら、人の生き方がダイレクトに問われる“苦しいとき”に真っ先に逃げる人や、ひきょうな行動をする人には誰もついていこうと思わないからです。

 そして、これは悲しいことに、どれだけ逃げたくても、どれだけ避けたくても、どうやら永遠に続くもので、逃げられないものなのです。

「生き方」は問われ続ける

 私は以前、一代で時価総額数千億円を築いた、ある創業者と話したとき、こう聞きました。

 「20代の頃、自分の意志だけが強みだと思っていても、30 代、40代、50代になり、少しずつ、その意志をキープするのは難しくなっていくと感じます。当然、その分、知恵は身に付けていけるかもしれませんが、根源的な力は衰えていくはずです。なぜ、○○さんはその意志を70歳近くまでキープできたのですか」と。

 彼は即答しました、「それは使命感ですよ」と。使命感が自分を支えてきた、と。

 私はやはりそうだろうな、と思いました。そして、価値観が問われるのは、何も苦しいときや、キャリアの序盤だけではないのだ、ということを改めて痛感しました。大成功し、すでに十分な富を築いていても、これからの生き方を問われ続けるものだと感じるというのです。

 いや、むしろ、成功したあとのほうがより生き方を問われるとさえ彼の言葉は示唆していました。なぜなら、人生のゴールとは、自分の人生の生き方に悩み続け、それに向かって精進し続けることでしかないから、だというのです。

 「感性を磨く」とは難しいものです。それは、なんとなく感じる違和感や、「こういう生き方はいやだ」という好き嫌いのようなものから始まるかもしれません。あるいは、ある人にとっては、それは美学のようなものに近いのかもしれません。

 いずれにせよ、これからの生き方とは、私たちの心の中、感性が決めることであり、逆に言えば、誰が読んでも同じになる内容のものからはあなた自身の答えは出ないのです。そしてそれは誰かに否定されても関係ない。ましてや、論理的に説明する必要なんて全くない。1%もない。あなたが気持ちいいと思う、そうありたいと思う、それだけでいいのです。だって、それは「あなたの感性が導き出した、唯一のもの」だからです。

 そして何より、そのヒントは誰でも、今からでも絶対に見つかります。絶対に、です。

 新型コロナウイルスの影響により、私達の働き方は目まぐるしく変わっています。そんな時だからこそ、自分の感性に従った「生き方」を持っているかどうかが、アフターコロナの社会を生き抜く上での武器になると確信しています。この本が皆さんにとって少しでもインスピレーションになれば幸いです。

著者プロフィール:北野唯我(きたの ゆいが)

兵庫県出身、神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。現在取締役として人事領域・戦略領域・広報クリエイティブ領域を統括。

またテレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。

著書に『転職の思考法』『オープネス』(ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)、『分断を生むエジソン』(講談社)がある。


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