リーダーの快眠が組織を変える 65000人の睡眠を改善してきて分かった睡眠と組織の関係性〜:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
リーダーが睡眠を犠牲にして、仕事をしているとチーム全体がギスギスして心理的安全性も確保されず、チャレンジする風土も育まれにくくなるが、リーダーがしっかり睡眠を取れているとコミュニケーションも良好になり、ヘルプも十分、失敗を恐れずにチャレンジできるようになりやすい。
リーダーが睡眠を犠牲にして、仕事をしているとチーム全体がギスギスして心理的安全性も確保されず、チャレンジする風土も育まれにくくなります。
しかしリーダーがしっかり睡眠を取れているとコミュニケーションも良好になり、ヘルプも十分できるチームになるので失敗を恐れずに新しいことがチャレンジできるようになりやすいのです。
日本は世界で最も良い睡眠が取りにくい光環境にある
海外旅行に行くと夜の照明が外も部屋の中も暗いなと感じたことはないでしょうか?
ある調査では日本のお店や家庭の照明は海外に比べて40%ほど明るかった、公共交通機関に関しては5倍も明るいところがあったと報告されています。夜の明るい照明は安全対策には効果的ですが、睡眠にはマイナスの影響が大きく夜はできるだけ避けたいものです。
さらに日本ではまだまだ白色の照明を使うことが多く、そのことも快眠しにくいことに拍車を掛けています。以上のことから、日本ではかなり意識をしないと普通に暮らしているだけで睡眠不調になりやすい環境にあるといえるのです。
快眠へのステップは十人十色
最近は、さまざまなマットレスや枕などが販売されるようになったり、睡眠の本がベストセラーになったりと誰でも快眠しやすい時代になってきたように感じます。
しかし実際には自分に合った睡眠を手に入れることは難しく、例えば最適な睡眠時間1つをとっても人それぞれで違って3時間から10時間とかなりの差があります。(厚生労働省の睡眠指針でも「最適な睡眠時間は人それぞれ」となっています)そして同じ人でも季節や年代によって、かなり睡眠時間や睡眠パターンは変化していきます。
さらにいうと1週間の間でも「平日」と「休日」という2種類の睡眠パターンに分けるだけでなく、週の半ばで完全回復するなど平日の睡眠にも工夫が必要です。
またパートナーがいる場合は、何も工夫しなければ快眠が難しくなりますし、子どもがいる場合などは特に工夫しないと家族みんなで睡眠不調になりがちです。
海外では学校で「睡眠」について学ぶ機会があり、大人になってからも学ぶ機会があります。日本では「食事」や「運動」について学ぶ機会がありますが、睡眠に関しては学ぶ機会がほとんどありません。
日本の教育方針に睡眠が取り入れられることを心から願っていますが、その可能性はずいぶん先になりそうです。ですからこれからのリーダーは自ら睡眠を学び、自分で快眠できるようにぜひスキルを磨いてほしいと思っています。
著者プロフィール:角谷リョウ(すみやりょう)
スリープコーチ Lifree株式会社 共同創業者
NTTドコモ、サイバーエージェント、損保ジャパンなどの大手企業をはじめ、計120社、累計6万5000人の睡眠改善をサポートしてきた上級睡眠健康指導士、日本サウナ学会学会員。
都市工学を専攻し、都市開発で当時最先端であった神戸市役所に入局。役所勤め時代に体作りに目覚め、当時珍しかったパーソナルトレーナーをつけ、自分に合った理論的なトレーニングの有効性を実感。あらゆる有名トレーナーのメソッドを研究する。
役所を退職後、トレーナーとして独立。わずか3カ月でキャンセル待ちのスタジオに。半年でスタッフを増員して移転拡大し、2年で4店舗と、このジャンルで関西トップクラスになる。神戸と大阪のトレーニングスタジオを経営しながら、自らもトレーナーとして関西・関東のスタジオや企業で指導を行うエグゼクティブ専門のパーソナルトレーナーとして活躍。
これまで主に企業向けに「運動」「食事」「睡眠」の改善サポートを行なってきたが、食事や運動の改善とは比較にならないほど、「睡眠の改善」がメンタルやコンディションの回復につながることに気づき、睡眠改善に特化する活動にシフト。
認知行動療法や心理学をベースにした独自の睡眠改善メソッドによるサポートを行っており、1回のセミナー参加で不眠症レベルの受講者の約70%が「正常範囲」まで改善。4週間の睡眠改善プログラムにおいては90%以上が「正常範囲」まで改善している。「人は、強制されても生活行動は変わらない」をモットーに、楽しく自ら自分を変えたくなるようなサポートを追求している。
著書は『エグゼクティブを見せられる体にするトレーナーは密室で何を教えているのか』(ダイヤモンド社刊)、『鍛えていないと稼げません――身体づくりで生産性をあげよう』(WAVE出版)。
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